• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実績報告書

C.elegans姉妹種を用いた小分子RNAによるトランスポゾン制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19H03212
研究機関東京大学

研究代表者

菊地 泰生  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (20353659)

研究分担者 平形 樹生  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40844791)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードゲノム構造進化 / トランスポゾン / C. elegans / 姉妹種
研究実績の概要

トランスポゾンは生物進化を助長する一方で、トランスポゾンのTEの転移はゲノムの損傷など有害な影響も持つため、真核生物はSmall RNAによるRNAサイレンシング機構を駆使してトランスポゾンを抑制する。近年発見されたC. elegansの姉妹種C. inopinataは、C. elegansの約2倍の体サイズをもち、C. elegansとは大きく異なる生殖様式や生態を有している。C. elegansとのゲノム比較により、C. inopinataのゲノムにはトランスポゾンが特徴的に多く存在し、さらに、C. inopinataはSmall RNAを制御するergo-1パスウェイが欠失していることが分かった。本研究では、C. elegans-C. inopinata比較解析系を用いて、トランスポゾンによるゲノムの構造進化、さらにそれを制御するsmall RNA機構を明らかにすることをゴールとし、以下の研究方法により、生物情報学と生化学、遺伝学的解析を行う。
・C. inopinataの発達ステージごとのsmall RNA発現解析
・C. inopinataのArgonauteのインタラクトーム解析
・野外分離株を用いたC. inopinataのゲノム進化解析
以上により、C. inopinataにおける、small RNA パスウェイとsmall RNAによるトランスポゾン制御機構を理解し、C. elegansとの比較により進化学的理解を得る。さらに、野生採取株のゲノム解析により、C. inopinataにおけるトランスポゾンによるゲノム進化の現状を明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

C. inopinataおよびC. elegansのメス成虫、オス成虫、卵からsmall RNA ライブラリーを作成し、small RNAseq解析を行った。各ステージでのsmall RNAseqリードを 種類 (miRNA, siRNA, piRNA, rRNA, tRNA)と長さによって分類したところ、C. inopinataはC. elegansと類似した種構成と発現時期をもっているものの、C. inopinataにはC. elegansのErgo-1 pathwayで生成される26G siRNAがオス成虫で欠失していることが判明した。一方で、C. elegansにはない長さのsiRNAを産出していることが明らかとなり、これがErgo-1 26G RNAに代わる役割を持っている可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

各Small RNA(miRNA, siRNA, piRNA)についてターゲットゲノム領域や遺伝子を同定し、 C. inopinata―C. elegans間での比較をおこなう
C. inopinata特異的Argonautの抗体を作成し、associateするSmall RNAを同定する。さらに、26G siRNA ergo-1の欠失を補完するpathwayの探索を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] The <i>Aphelenchoides</i> genomes reveal substantial horizontal gene transfers in the last common ancestor of free‐living and major plant‐parasitic nematodes2023

    • 著者名/発表者名
      Lai Cheng‐Kuo、Lee Yi‐Chien、Ke Huei‐Mien、Lu Min R.、Liu Wei‐An、Lee Hsin‐Han、Liu Yu‐Ching、Yoshiga Toyoshi、Kikuchi Taisei、Chen Peichen J.、Tsai Isheng Jason
    • 雑誌名

      Molecular Ecology Resources

      巻: 23 ページ: 905~919

    • DOI

      10.1111/1755-0998.13752

  • [雑誌論文] The compact genome of Caenorhabditis niphades n. sp., isolated from a wood-boring weevil, Niphades variegatus2022

    • 著者名/発表者名
      Sun Simo、Kanzaki Natsumi、Dayi Mehmet、Maeda Yasunobu、Yoshida Akemi、Tanaka Ryusei、Kikuchi Taisei
    • 雑誌名

      BMC Genomics

      巻: 23 ページ: -

    • DOI

      10.1186/s12864-022-09011-8

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi