本研究は、大腸菌を対象に、ゲノム縮小と増殖速度の相関関係を遺伝子発現のゲノム周期性で説明することを目的とした。そのため、大腸菌増殖の網羅的計測、実験進化、ゲノム変異と遺伝子発現解析を行った。その結果、ゲノム縮小により、遺伝子発現のゲノム周期数が保たれており、周期の振幅や位相が元(野生型)からずれることを発見した。そのずれが増殖速度の低下に繋がっている。実験進化によって、ゲノム縮小株の増殖速度が回復され、遺伝子発現のゲノム周期も相関して戻ることを明らかにした。つまり、増殖速度は個別の発現制御だけで決められるのではなく、トランスクリプトームの周期的秩序によって決まっている。
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