研究課題/領域番号 |
19H03225
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
竹居 孝二 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40322226)
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研究分担者 |
山田 浩司 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80325092)
竹田 哲也 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30302368)
内橋 貴之 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30326300)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ダイナミン / アクチン / 微小管 / ポドサイト / シャルコーマリーツース病 / 中心核ミオパチー / マラリアダイナミン |
研究実績の概要 |
1)腎糸球体ポドサイトを用いてダイナミンによる微小管制御機構を解析した。マウスポドサイト細胞株MPCを分化させると、ダイナミン1が腎糸球体ポドサイト一次突起に微小管と共局在し、ポドサイトの突起形成や細胞形態の安定化に必要であることを明らかにした。in vitro再構成系により、ダイナミン1が微小管を束化することを見出した。さらに、ラット腎切片の免疫染色により、ダイナミン1が糸球体発生の初期に発現することがわかった。以上の成果を論文として発表した。 2)ダイナミンがアクチン制御機構を解析した。ダイナミンとアクチンによりin vitroで形成される束状構造を解析した結果、ダイナミンとGアクチンが新規の共重合体を形成することが強く示唆された。ネガティブ染色解析の結果、その構造体に周期性が観られたので、クライオ電子顕微鏡解析に着手した。また、アクチン、ダイナミン、リポゾームをin vitroで反応させることにより、ダイナミン膜チューブ状に沿ってアクチン線維が形成され、さらにチューブに捻られることを見出した。 3)骨格筋細胞のT管形成におけるダイナミンの機能を解明するために、培養筋芽細胞にダイナミン2をBAR タンパクBIN1と共発現させ、T管様構造の形成と動態に対する影響を調べた。野生型ダイナミン2はBIN1との結合を介してそのGTPアーゼ活性が抑制され、BIN1により形成されるT管様構造を安定化させた。一方、遺伝性筋疾患中心核ミオパチー(CNM)の変異を導入したダイナミン2はGTPアーゼ活性を上昇させ、T管様構造形成を減少させた。以上により、ダイナミン2がT管形成維持に必要であり、CNM変異によるT管形成維持の不全がCNMの分子病態機序である可能性を示し、論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ダイナミンによる微小管ダイナミクス制御については、ダイナミン1がポドサイトの微小管に局在し、微小管を束化すること、ポドサイトの突起形成や細胞形態の安定化に必要であることめ、論文発表(La, et al., FASEB J. 2020)、報道発表を行った。 ダイナミンによるアクチン制御については、内橋教授(名古屋大、研究分担者)との共同研究により、アクチン線維束形成、分散における分子動態の高速AFM観察を進めている。また成田教授(名古屋大)との共同研究を新たに開始し、クライオ電顕観察によるダイナミンーアクチン線維束の分子構造解析に着手した。 骨格筋細胞のT管形成におけるダイナミン2の機能、ダイナミン2CNM変異によるCNMの分子病態機序に関する上述の知見を論文発表(La, et al., FASEB J. 2020)、報道発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
ダイナミンによる微小管ダイナミクス制御機構を解析するために、ダイナミンー微小管束のクライオ電子顕微鏡構造解析を進める。機能解析はチューブリンアセチル化との関わりを精査する。また、ダイナミン1による微小管の安定化は、分化したポドサイトにおいてのみ顕著となることから、細胞の分化とダイナミン機能との関連を明らかにする。 ダイナミンによるアクチン制御については、共同研究による高速AFM観察とクライオ電子顕微鏡観察を進め分子の構造と動態を明らかにする。 ダイナミンの変異疾患については、ダイナミン1てんかん変異の機能解析をすすめる。変異タンパク質のコンストラクト作成済みなので、変異タンパク質を発現生成し、in vitro膜切断活性を解析する。マラリアダイナミンについては赤血球寄生マラリア原虫の分裂後期における膜局部への局在がわかってきたので、その膜切断機構を明らかにする。
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