研究課題
1)ダイナミンによる微小管制御機構については、精製ダイナミン1による微小管束形成を蛍光顕微鏡により観察した。ダイナミン1のプレクストリン相同(PH)ドメインを用いた場合も、全長のダイナミン1と同様に微小管の束化が認められた。さらに、ダイナミン1のPHドメイン、プロリンリッチ(PR)ドメインに対応する合成ドデカペプチドを用いた結合阻害実験により、ダイナミンの微小管結合部位がPHドメインに存在することを明らかにした。2)ダイナミンによる微小管の安定化が、微小管依存性の小胞輸送に及ぼす影響を調べるため、肺癌H1299細胞にラッフルを形成させ、細胞中心部からラッフル辺縁部に輸送されるカルシウムチャンネルTRPV2の輸送を蛍光免疫染色とカルシウムイオンの細胞内流入を指標に調べた。ダイナミン1ノックダウン細胞では微小管束とTRPV2の細胞表面への移行が減少したことから、ダイナミンに1による微小管安定化は微小管依存性の小胞輸送に関与することがわかった。3)ダイナミン2によるアクチン制御と膜ダイナミクス制御の連携機構を解明するため、野生型ダイナミン2、Charcot-Marie-Tooth病(CMT)の疾患変異ダイナミン2K562Eをポドサイトに発現させて解析するとともに、精製タンパクを調製し、in vitroで性状を調べた。K562E発現ポドサイトではストレスファイバーが減少し、異常なアクチンクラスターが形成され、ストレスファイバー再形成能も低かった。in vitro解析ではK562Eのアクチン線維束化能は野生型より少なく、膜結合能、膜変形能、自己重合能は顕著に低かった。リポゾームと野生型ダイナミン2存在下では、アクチン線維は太い線維束を形成されたが、K562Eではその形成は少なかった。以上よりダイナミン2の脂質膜に対する親和性と自己重合能がアクチン束化に必要であることを明らかにされた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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