多細胞生物は、からだを長期に維持,再生する能力=組織恒常性を持つが、このメカニズムは未解明の部分が多い。本研究では,ゼブラフィッシュ尾ヒレをモデルとして,以下の成果を得た。(1)傷害応答におけるマクロファージ動員にはPI3キナーゼシグナルが必要である。(2)遺伝子の再生応答には,2つの転写因子結合部位を介したシグナルが同時に活性化される。(3)骨,軟骨を産生,再生する間葉細胞は,発生期に系譜が分かれ,生涯異なった系譜を持つ。(4)皮膚の基底幹細胞の自己複製と分化は,それぞれ基底細胞,ケラチノサイトへの傷害によって誘導される。以上の研究により,再生プロセスの詳細なメカニズムに関する理解が進んだ。
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