研究課題
移動能力を欠く植物が、絶えず変動する光環境で効率よく光合成を行うためには、光合成の場である葉緑体の機能を柔軟かつ精密に制御する必要がある。本研究では、酸化還元を基盤としたタンパク質の翻訳後制御であるレドックス制御に注目する。近年、葉緑体のレドックス制御系は、多くのタンパク質(複数のチオレドキシン分子種などの制御因子群と様々な葉緑体機能に関与する標的酵素群)が関わるネットワーク上システムとして再認識されており、そのシステム全体の分子基盤や生理意義の解明が重要な課題となっている。本研究課題では、分子生物学・生化学から生理生態学までを貫徹する基礎研究を行い、葉緑体機能を統御するレドックス制御系を包括的に理解することを目的とした。当該年度は、1)還元エネルギーの起点となる電子伝達系と標的酵素のレドックス制御が作動効率の観点でどのようにリンクしているのかを明らかにし、レドックス制御系のダイナミクスに関する新規の知見を得た(Plant Cell Physiol. 2024)。2)NADPHを還元力として用いるレドックス制御因子であるNTRCの阻害因子を同定した(Biochem. Biophysic. Res. Commun. 2023)。3)研究代表者が以前同定したタンパク質酸化因子であるACHTの過剰発現が、光合成のフィードバック阻害を導くことを明らかにした(J. Plant Res. 2024)。以上より、レドックス制御系の全貌解明に確実に結びつく成果を挙げることができた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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