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2020 年度 実績報告書

CLEペプチドによる篩部パターニング制御

研究課題

研究課題/領域番号 19H03246
研究機関大阪大学

研究代表者

柿本 辰男  大阪大学, 理学研究科, 教授 (70214260)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード篩部 / 伴細胞 / 篩管要素 / パターン形成 / CLEペプチド / シロイヌナズナ / 受容体
研究実績の概要

維管束は、篩部、木部、前形成層からなる。根においては、根端分裂組織における一次成長によって維管束系の基本パターンが形成される。シロイヌナズナでは、横断面を見た場合には、二つの極に篩部が形成され、その間に一直線に道管列が並ぶ。また、篩部や木部を構成する細胞列の数も決まっている。この特定のパターンが生み出される仕組みを明らかにすることが本研究の目的である。私たちのこれまでの研究で、篩部で働くDof転写因子群は篩部前駆細胞で発現して篩部細胞を形成させる能力がある一方、篩部の形成を阻害するペプチド性シグナル分子CLE25, 26, 45の遺伝子を直接活性化していることがわかった。cle25/26/45三重変異体を作成したところ、篩部形成領域が広がることも見出した。CLE25, 26, 45ペプチドは、受容体キナーゼであるBAM1, BAM3に直接結合することも示した。また、bam1/2/3三重変異体、BAMと共に働く共受容体CIK2,3を共に破壊したcik2/3変異体でもcle25/26/45と同様に篩部領域が広がることを見出した。さらに、CLE25ペプチド は篩部で発現するDofタンパク質を転写後制御によって減少させることにより篩部形成を阻害していることがわかった。これらのことから、Dofは篩部形成を指令すると共にCLE25,26,45遺伝子を活性化し、CLEペプチドが周辺細胞に働いて周辺細胞が篩部に分化することを阻害し、適切な篩部のパターンを作り上げていることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

篩部前駆細胞で優先的に発現しているDof転写因子群は、篩管要素と伴細胞分化の引き金となる一方で、分泌性ペプチドであるCLE25, 26, 45遺伝子を誘導し、これが周辺細胞においてBAM受容体/CIK共受容体複合体によって認識されてDof転写因子を減少させることで篩部形成を抑制していることを見出した。このことから、篩部パターンの重要な制御系を見出したと言える。

今後の研究の推進方策

CLE25,26,45ペプチドはBAM/CIKに受容された後、Dof転写因子を減少させる仕組みを解明したい。また、Dof転写因子の多くのターゲット遺伝子を見出しており、これらの機能解析を進める。具体的には、Dofターゲット遺伝子の遺伝子破壊株の表現型解析を進める。また、篩部以外で発現しているCLEペプチドも篩部パターン形成に関わっている結果が出つつあり、cle変異体の高次の多重変異体の詳細な表現型解析を進める。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Pericycle cell division competence underlies various developmental programs.2022

    • 著者名/発表者名
      1.Zhang Y, Umeda M, Kakimoto T.
    • 雑誌名

      Plant Biotechnology

      巻: 39 ページ: 29-36

    • DOI

      10.5511/plantbiotechnology.21.1202a

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Two types of bHLH transcription factor determine the competence of the pericycle for lateral root initiation.2021

    • 著者名/発表者名
      Zhang Y, Mitsuda N, Yoshizumi T, Horii Y, Oshima Y, Ohme-Takagi, M, Matsui M, Kakimoto, T.
    • 雑誌名

      Nature Plants

      巻: 7 ページ: 633-643

    • DOI

      10.1038/s41477-021-00919-9

    • 査読あり
  • [学会発表] 側根原基形成における局所的なオーキシン生合成の役割2022

    • 著者名/発表者名
      金田紗苗,柿本辰男
    • 学会等名
      第63回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] PFAs and PFBs, two types of bHLH proteins, determine the competence of pericycle for lateral root initiation2021

    • 著者名/発表者名
      Ye Zhang , Nobutaka Mitsuda , Takeshi Yoshizumi , Yoko Horii , Yoshimi Oshima , Masaru Ohme-Takagi , Minami Matsui , Tatsuo Kakimoto
    • 学会等名
      Secrets of stem cells underlying longevity and persistent growth in plants
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 側根原基形成における局所的なオーキシン生合成の役割2021

    • 著者名/発表者名
      金田紗苗 柿本辰男
    • 学会等名
      近畿植物学会 第 10 回 講演会
  • [学会発表] シロイヌナズナの側根形成初期に発現するGATA23遺伝子の破壊株の解析2021

    • 著者名/発表者名
      山本凜、柿本辰男
    • 学会等名
      近畿植物学会 第 10 回 講演会
  • [学会発表] ROP interactive partners (RIPs) regulate microtubule dynamics and orientation of cell division in the leaves2021

    • 著者名/発表者名
      ハスチムグ、柿本辰男
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会
  • [学会発表] 転写因子-ペプチド-受容体-転写因子フィードバックループによる篩部パターン形成の仕組み2021

    • 著者名/発表者名
      柿本辰男
    • 学会等名
      近畿植物学会 第 10 回 講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] Regulation of vascular development by CLE peptides2020

    • 著者名/発表者名
      柿本辰男
    • 学会等名
      日本植物学会84回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Transcription factors that govern the stem-cell-like features of pericycle2020

    • 著者名/発表者名
      柿本辰男
    • 学会等名
      第61回 日本植物生理学会 サテライトシンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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