陸上植物は生存に適さない環境を成長を停止させた状態で乗り越え、好ましい環境下で生育を再開させる休眠という生存戦略を進化させてきた。コケ植物ゼニゴケは、杯状体内部に休眠したクローン繁殖子である無性芽を形成する。本研究では、無性芽の休眠を促進するbHLH型転写因子MpHYPNOS(MpHYP)に着目し、その休眠制御機構を解析した。MpHYP機能欠損変異体とMpHYP機能誘導株を用いて様々な分子生理学的解析を行ったところ、MpHYPはABA生合成遺伝子の発現誘導や細胞周期関連遺伝子の直接的な発現抑制を介して、ABA依存的と非依存的経路で複合的に休眠を促進していることを明らかにした。
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