研究実績の概要 |
本研究では、果実モデル作物について「果実の質向上および、病害耐性や収量向上などの多面的有用形質の分子育種戦略モデル」を創生するとともに、栽培種トマト (Solanum lycopersicum) に対して有用形質付加育種を行うための、即戦力遺伝子群を、種間交雑可能な野生種トマト群から特定することを目的としている。本年度は、本研究の具体的な研究項目の一つである、「栽培品種と種間交雑可能な野生種トマトの植物種ワイド (species-wide) レベルでの物質生合成能の全体像を捕捉」の研究成果において、学会発表および国際科学雑誌 (Tohge et al., 2020, Mol Plant) で発表した。また、植物代謝多様性比較に関する解析法を、学会発表および国内学会誌 (西郷・峠, 2019, 日本化学会情報化学部会誌) で発表した。また、これらの有用物質代謝の産生制御に関わる転写因子と特定法について新たな解析法を構築し、学会発表および国際科学雑誌 (Saigo et al., 2020, Curr Opin Plant Biol) で発表を行った。現在、解析の範囲をさらに広げ、トマト野生種の特定器官や、ナス科植物作物種についての解析を行い、それぞれの研究成果について、国際科学雑誌への投稿の準備を行っている。また、特化代謝を標的とした有用形質付加育種の鍵となるゲノム領域の解析の方法論をまとめ、現在国際科学雑誌への投稿を準備している。また、本研究の協力者 (海外研究機関) とオンラインミーティングなどを頻繁に行い、必要な情報の共有と連携の強化を行った。
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