研究課題
植物細胞壁の主要構成多糖ペクチンは、細胞接着や形態形成、組織の硬軟調節に関わるとされている。ペクチンは非常に複雑な構造をしており、その生合成に約30の糖転移酵素が関わると考えられている。しかし、ほとんどの酵素遺伝子が未同定で、ペクチンの機能解析が進んでいない。本研究では、ペクチン構成多糖であるホモガラクツロナン(HG)、ラムノガラクツロナンI(RG-I)およびラムノガラクツロナンII(RG-II)生合成に関わる糖転移酵素の遺伝子を同定することを目的とした。遺伝子同定できると、遺伝子発現抑制変異体の解析によりペクチンの機能解明を進めることができる。昨年度までに、ペクチンRG-I主鎖生合成ガラクツロン酸転移酵素RGGAT(糖転移酵素ファミリーGT116)について、米国ジョージア大学のDebra Mohnen教授と共同で、哺乳動物培養細胞HEK293を用いてRGGAT1,2,4,7のリコンビナントタンパク質を得ることに成功し、これらの酵素活性を検出することでRGGAT遺伝子を同定した。今年度は、RGGAT3,8のリコンビナントタンパク質を調製でき、これらにペクチン生合成酵素活性を検出した。さらに、GT116に類縁のGT8で機能未知だったGATLについて、そのリコンビナントタンパク質にHG生合成ガラクツロン酸転移酵素活性を見出した。この基質特異性は、これまでに知られているHG生合成する2種類のガラクツロン酸転移酵素とは異なっていた。つまり、基質特異性の異なる3種類のガラクツロン酸転移酵素が協調して長鎖のHGを生合成していることを明らかにした。RG-I側鎖生合成ガラクトース転移酵素はその遺伝子が未知であるが、10種類ほどの候補遺伝子がコードするタンパク質を得ることができ、高純度糖ヌクレオチドを用いたUDP-Gloアッセイにより、そのうちの2つにガラクトース転移酵素活性を検出した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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