研究課題
申請者は、植物の強力な再分化能力を制御する遺伝子プライミング現象を発見した。植物のシュート再生前のカルスの段階で、ヒストンH3のリジン残基の脱メチル化によりプライミング遺伝子群が転写スタンバイになりシュート形成時に一気に遺伝子発現がONになることが明らかになった。これはクロマチン構造変換により遺伝子発現が三次元的に制御されていると推測された。そこで、クロマチン構造変換に連動する遺伝子発現をRNAポリメラーゼのリン酸化をライブイメージングして解析するほか、申請者が開発した独自のディープイメージングや遺伝子座特異的クロマチン可視化技術を用いて、多細胞塊のカルスを研究材料にして解析することにより、より詳細な植物のプライミング現象の分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。初年度と2年度の解析により、ヒストン脱メチル化とメチル化のバランスからプライミング遺伝子の絞り込みを進めることができ、さらに詳細な分子メカニズムが明らかになった。特に、再生前段階で、H3K4me1、H3K4me2、H3K3me3のバランスによってプライミング現象が成立することが明らかになりつつある。また、RNAPIISer2phやH3K4me3を認識するモノクローナル抗体の一部であるミントボディを使用したChIPとイメージングを可能にするシステムを構築することに成功した。RNAPIISer2phのミントボディに関しては、ChIPとイメージングを組み合わせた論文原稿を作成して論文発表をすることができた。
2: おおむね順調に進展している
植物プライミング現象の分子メカニズムが明らかになりつつあり、その成果の一部を論文発表できたから。
初年度と2年度の解析により明らかになったヒストン脱メチル化とメチル化のバランスからプライミング遺伝子について、H3K4me1、H3K4me2、H3K3me3の動態を明らかにして論文発表することを目標に研究を推進していく予定である。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 3件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) 備考 (3件)
Nature Communications
巻: 12 ページ: 2074-2074
10.1038/s41467-021-22205-0
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 85 ページ: 85, 91
10.1093/bbb/zbaa015
CYTOLOGIA
巻: 86 ページ: 3, 9
10.1508/cytologia.86.3
Scientific Reports
巻: 11 ページ: 3877, 3891
10.1038/s41598-021-83401-y
Commun. Biol
巻: - ページ: in press
Plants
巻: 9 ページ: 39
10.3390/plants9010039
Plant & cell physiology
巻: 61 ページ: 255, 264
10.1093/pcp/pcaa002
The Plant Journal
巻: 101 ページ: 1118, 1134
10.1111/tpj.14579
巻: 102 ページ: 678, 687
10.1111/tpj.14653
Nature communications
巻: 11 ページ: 5914
10.1038/s41467-020-19621-z
Biochemical and biophysical research communications
巻: 533 ページ: 1371, 1377
10.1016/j.bbrc.2020.10.024
巻: 85 ページ: 107, 113
10.1508/cytologia.85.107
巻: 85 ページ: 263, 267
10.1508/cytologia.85.263
ケミカルエンジニヤリング
巻: 65 ページ: 405, 409
Plant Morphology
巻: 32 ページ: 53, 57
10.5685/plmorphol.32.53
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/matsunaga_lab/
https://www.rs.tus.ac.jp/plantmemory/
https://interview.plant-resilience.jp/sachihiro_matsunaga/