研究課題/領域番号 |
19H03263
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
Liu Qinghua 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 教授 (90723792)
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研究分担者 |
櫻井 勝康 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (70507920)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠 / 眠気 / ストレス / 心的外傷後ストレス障害 |
研究実績の概要 |
ストレスは睡眠の質、量に影響を与えることが知られている。例えば、ストレスが蓄積することにより、睡眠が浅くなり、夜中に何度も起き、睡眠による疲労回復が正常に行われない。本年度は、心的外傷後ストレス障害モデルマウスを用いて、強烈なストレスが眠気や睡眠にどのような影響を与えるのか検討した。さらに、その中枢メカニズムの一端にも迫った。心的外傷後ストレス障害モデルマウスは、拘束ストレス、強制水泳、エーテル曝露を連続して行うことによって作製した。ストレスにより、明期の睡眠時間(NREM、REMともに)が減少し、暗期の睡眠時間(NREM、REMともに)が増加した。興味深いことに、眠気の指標となるデルタ波は明期、暗期ともにストレスによって減少していた。どのようにしてこのような睡眠構造の変化が起こるのかを明らかにするために、全脳Fosマッピングを行った。その結果、ストレスによって前頭前野において、顕著なFos陽性細胞の増加が認められ、それらは興奮性のニューロンであった。薬理遺伝学的手法であるDREADDシステムを用いて、前頭前野の神経活動を抑制した結果、心的外傷後ストレス障害モデルマウスで観察されたデルタ波の変化が消失した。以上の結果から、心的外傷後ストレス障害は前頭前皮質の神経活動を変化させることにより、睡眠の構造を変化させていることが示唆された。本研究の成果は、Hyper-activation of mPFC underlies specific traumatic stress-induced sleep-wake EEG disturbancesとして、論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初は、断眠することによって眠気を増加させ、それらに関わる神経細胞、神経回路を明らかにしようと試みたが、ターゲットとなる特徴的な神経細胞の同定には至っていなかった。そこで、マウスにストレスを与えることによっての睡眠を変化させ、そのメカニズムの解明を介して眠気のメカニズムに迫った。その結果、心的外傷後ストレス障害によって前頭前皮質の神経活動が変化し、睡眠構造を変化させている可能性を明らかにし、論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、脳幹において催眠作用に関わると推察される神経集団を同定している。今後は、この神経細胞の細胞特性を明らかにするととともに、選択的な標識、神経活動の操作、さらには神経経路の同定を行うことにより、催眠作用(もしくは眠気)に関わる新規細胞集団の同定を目指す。
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