研究課題/領域番号 |
19H03274
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神川 龍馬 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40627634)
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研究分担者 |
原田 二朗 久留米大学, 医学部, 講師 (10373094)
高市 眞一 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (40150734)
谷藤 吾朗 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (70438480)
中山 卓郎 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (70583508)
宮下 英明 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (50323746)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フコキサンチン / ゲノム / トランスクリプトーム / 葉緑体 |
研究実績の概要 |
候補遺伝子のホモログをデータベースから抽出し、多様な真核生物配列および外群原核生物配列を含むデータセットを構築した。本データセットを用いた分子系統解析の結果、本遺伝子群には複数のクレードが存在し、また同一生物種ゲノムにも複数のパラログが存在することが明らかとなった。本系統樹は真核生物の系統関係を反映していないため、遺伝子重複や喪失、そして遺伝子水平伝播を含む複数の進化ステップが現在の遺伝子分布を形成してきたことが明らかになった。 候補配列産物が葉緑体に局在していることを実験的に確認するとともに、高発現珪藻変異体作成のため、C末端にGFP配列を付加した配列および付加されていない遺伝子発現プラスミドを構築し、形質転換体クローンを得た。現在は最も高発現しているクローンの選定を進めている。 既に遺伝子領域まで同定していた従属栄養性珪藻類Nitzschia putridaにおける色素体局在タンパク質を精査し、色素体代謝経路を再構築した。その結果、やはりカロテノイド合成に関与する配列や経路は検出できず、カロテノイド合成の基質合成経路も検出されなかった。また同様にカロテノイドを代謝・分解する経路も検出できなかった。すなわち、本従属栄養性種は、光合成能喪失に伴いカロテノイド関連経路を完全に喪失していることが再度確認された。本成果を含む論文は国際学術誌に投稿し、アクセプトされた。また、フコキサンチンを合成する珪藻類を含む不等毛藻に最も近縁な従属栄養性生物の同定に成功し、フコキサンチン合成関連遺伝子を探索する上での情報基盤を整備した。本成果も国際学術誌に投稿し、アクセプトされた。もう一種の従属栄養性珪藻ゲノムにおいては、アッセンブル手法の完全の余地が見られたため、複数のアッセンブル手法の比較を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに1種目の従属栄養性藻類のゲノム構築が完了し、またフコキサンチン合成藻類に近縁な従属栄養性生物の同定に成功しており、情報解析のためのベースは整いつつある。候補配列の解析については、標的配列に複数のパラログが存在しRNAiの特異性を再検証する必要が出てきたため、2021年度までのデータを別途実験的に検証する必要がある。当初は2021年度後半から22年度に大腸菌を用いた発現タンパク質を用いて生化学的にその機能を解析する予定であったが、まずはノックダウンの特異性を精査することを優先する。しかし、これも次年度内に十分終了できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
RNAiの特異性の検証を行いつつ、候補配列の機能解析を進める。さらに候補配列を増やすため、色素組成が変動する培養条件を探索し比較トランスクリプトーム解析を行う。また、情報解析のベースをさらに整備するため別系統の従属栄養性珪藻ゲノム解読を進める。
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