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2021 年度 実績報告書

大規模パターン解析と比較ゲノムで探る動物体表模様の局所的・大域的多様性と進化

研究課題

研究課題/領域番号 19H03283
研究機関大阪大学

研究代表者

宮澤 清太  大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特任准教授(常勤) (10377905)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード模様パターン
研究実績の概要

動物の体表には多彩な模様パターンが見られる。模様パターンの多様性は、個々の生物分類群に特有の「局所的多様性」と、系統をまたいだ複数の分類群に共通する「大域的多様性」という2つのレベルに分けることができると考えられる。本研究課題では、2つの多様性レベルとそれらに関わるパターン形成メカニズムの違いを踏まえながら、模様パターンの多様性が「なぜ、どのように」生み出されてきたのかを明らかにすることを目指している。本年度は、昨年度に引き続き、現生の魚類全科・全属の魚種を対象とした独自の大規模魚類模様パターンデータベースの構築および整備を進めた。さらに、これまでに蓄積してきた海産、淡水産を含む18,000種あまり、約4,000属の形質データをもとに、系統比較法(Phylogenetic comparative methods)の適用を試みた。本研究では魚類全体で頻出する11の模様パターンモチーフに着目しているが、系統比較法の適用にあたっては、モチーフ3つずつの組み合わせを取り上げ、それぞれのモチーフが独立に進化する独立モデルと、あるモチーフの進化(獲得・喪失)が他のモチーフの状態に依存して遷移する非独立モデル、さらに、3つのうち1つのモチーフのみ独立に獲得・喪失が生じる部分的独立モデルを考え、シミュレーションによる検討を行った。この結果、調査対象とした主要魚類10目中8目において、ある種の模様パターンモチーフ間の相関進化を示唆する結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で構築を進めている魚類模様パターンデータベースは、魚類以外の他の動物種を含め、他に類を見ない大規模かつ独自のものとなっている。蓄積した形質データと先行研究の系統情報とを用い系統比較法を適用することで模様モチーフ進化に関する新たな知見を得るという試みに一定の成果が得られていること、さらには比較ゲノム解析の基盤整備等も進めることができていることから、当初の研究計画に照らし、おおむね順調に進展しているものと考えている。

今後の研究の推進方策

模様パターン進化解析のモデルとして多くの優位性をもつことが明らかとなってきたフグ目魚類をはじめとする各魚種について、模様パターンの解析および全ゲノムシーケンス解析を引き続き進め、系統・集団構造と模様パターンとの関連について明らかにしていく予定である。また、魚類模様パターンデータベースに蓄積してきたデータのさらなる活用を目指し、模様パターンの多様性、進化過程について新たな洞察を得られるよう研究を進めていく方策である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 魚の体表模様の多様性を探る2022

    • 著者名/発表者名
      宮澤 清太
    • 雑誌名

      科学

      巻: 92 ページ: 974-981

  • [雑誌論文] Studies of Turing pattern formation in zebrafish skin2021

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Kondo, Masakatsu Watanabe and Seita Miyazawa
    • 雑誌名

      Philosophical Transactions of the Royal Society A

      巻: 379 ページ: -

    • DOI

      10.1098/rsta.2020.0274

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Can "pattern blending" cause speciation through hybridization?2023

    • 著者名/発表者名
      Seita Miyazawa
    • 学会等名
      Gordon Research Conference Speciation
    • 国際学会
  • [学会発表] フグ科魚類の体表模様と種間交雑2022

    • 著者名/発表者名
      宮澤 清太
    • 学会等名
      第38回個体群生態学会大会
  • [学会発表] 魚の虫食い模様が生まれるしくみを考える2022

    • 著者名/発表者名
      宮澤 清太
    • 学会等名
      新潟大学 形の科学研究センター シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 魚類体表模様パターンへの系統比較法適用の試み2021

    • 著者名/発表者名
      宮澤 清太
    • 学会等名
      日本進化学会第23回オンライン大会
  • [学会発表] How fish got their complex color patterns2021

    • 著者名/発表者名
      Seita Miyazawa
    • 学会等名
      The 2nd AsiaEvo Conference
    • 国際学会
  • [図書] Pigments, Pigment Cells and Pigment Patterns (Hashimoto, H., Goda, M., Futahashi, R., Kelsh, R., Akiyama, T. Eds.)2021

    • 著者名/発表者名
      Miyazawa Seita, Watanabe Masakatsu, Kondo Shigeru
    • 総ページ数
      484
    • 出版者
      Springer, Singapore
    • ISBN
      981161489X

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公開日: 2023-12-25  

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