研究課題
以下の4つのサブテーマの元で研究を進めた。1.多種における性システムの解明:本年度は根頭類のフサフクロムシを中心に,性システムを調べた。フサフクロムシでは,従来の説とは異なり,1本の余剰染色体があると雄,ないと雌になるという性決定を行うことが強く示唆された。また,トランスクリプトーム解析によって雌雄で発現の異なる遺伝子のグループを見出した。さらに深海性ミョウガガイの繁殖生態についてのデータを追加し,解析と論文執筆を進めた。2.モデル種における種内変異の解析:モデル種における詳細な性システムの種内変異を解析する。今年度は,ハサミエボシにおいて,野外採集個体の性表現の調査と,室内飼育による性表現の可塑性に関する実験を行った。野外調査の結果,雌雄同体と矮雄という性表現以外に,従来知られていなかった精子をもたない雌雄同体個体(機能的雌)を多数見出した。野外データおよび繁殖集団の大きさを操作する室内実験により,これらの性表現は繁殖集団の大きさの影響を受けることが判明した。また,カルエボシにおいて,温度が成長や繁殖に与える影響を水槽実験により明らかにした。3.種間比較による進化パターンとプロセスの抽出:異なる宿主からハサミエボシを発見し,COI遺伝子の塩基配列を調べた結果,宿主が異なる個体も同種であり,雄性異体の性表現をもつことが判明した。4.新たな数理モデルの作成と要因の解析:交尾するフジツボ類だけでなく,放精するフジツボ類,さらには放卵放精をする生物も考慮して,配偶子が届く範囲を決める,より汎用的な関数形をモデルに取り込む。今年度は,放精する種についてモデルの改良をさらに進めた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Crustacean Research
巻: 53 ページ: 45-52
10.18353/crustacea.53.0_45
Research Square
巻: - ページ: -
10.21203/rs.3.rs-3819539/v1