研究課題/領域番号 |
19H03285
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸山 宗利 九州大学, 総合研究博物館, 准教授 (80512186)
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研究分担者 |
小松 貴 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 協力研究員 (30722011)
金尾 太輔 山形大学, 理学部, 助教 (40758421)
岡本 朋子 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (50588150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハネカクシ / 好蟻性 |
研究実績の概要 |
本年度は分類学的研究、分子系統学的解析、化学分析等を中心に行った。当初の研究計画であったアフリカを中心とするサスライアリと共生するハネカクシの研究の遂行が困難であるため(コロナウィルス流行による渡航の現実的な難しさによる)、「ハネカクシ」と「好蟻性種」をキーワードに、さまざまな甲虫に関して研究課題の内容を拡大し、十分な成果をあげることを目標に実施した。とくに日本国内でさまざまなハネカクシ採集するとともに、さらに多くの研究者によびかけて標本を収集し、それらの分類学的な研究を行い、いくつかの論文や学会発表として公表した。また、既存の標本をもとにも、ハネカクシやヒゲブトオサムシなどを対象に分類学的な研究を行った。ハネカクシに関しては、キノコや蛾の巣、海岸にいるハネカクシなど、生息環境の意調査範囲を広げることによって、ハネカクシ全般に関する知見の集積を図り、これまでにない数多くの発見をもたらした。分子系統解析に関しては、主にアリヤドリ属Homoeusaとその近縁属のハネカクシについて行い、いくつかの面白い成果を得ることができた。具体的には、これまで同属とされていたものが、実は多系統的であったこと、また比較的短い間にさまざまなホストへの適応放散的なことが生じていた可能性である。本研究課題はサスライアリと共生するハネカクシを研究材料として、その適応放散的な進化の解明を主目的としていたが、研究課題の目的にかなう成果の一つといえる。さらに体表炭化水素や分泌物の化学成分分析なども並行して進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルスの流行により、主要な研究課題内容であったアフリカのサスライアリと共生するハネカクシの調査のための渡航が難しく、そのタイミングを待ちながら研究費を使用していたため、なかなか思い切った運用には踏み切れない。課題の範囲を広げて研究を行っているが、それらについてはおおむね順調な成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルスの流行が峠を越えてアフリカに渡航するタイミングを見計らい、アフリカで調査を実施する方向は主軸としたい。さらに、拡大した研究内容に関しても、研究室の学生にも実験費や旅費を配分し、十分な成果をあげるよう目指したい。
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