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2021 年度 実績報告書

種間交雑回避機構として体色と色覚がトンボ類の種分化に及ぼす効果

研究課題

研究課題/領域番号 19H03287
研究機関東京都立大学

研究代表者

林 文男  東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40212154)

研究分担者 二橋 亮  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50549889)
土畑 重人  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50714995)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード交尾行動 / 形質置換 / 種分化 / 種内変異 / 種間交雑
研究実績の概要

トンボ類は,昼行性で,よく発達した複眼を用い,色彩などから同種認知を行い交配する.そのため,トンボ類の体色,翅の模様,体型などが多様になっていると考えられる.しかし,野外において稀に雑種個体が見つかることがあり,また,近縁種間の形態的分類が困難なグループも知られている.本年度は,カワトンボ属2種の交雑の程度と形態変化をさらに多くの地点で採集し,比較を行う予定であったが,コロナ禍のため,このトンボの発生時期に長距離の移動を行えず,来年度に持ち越しとなった.一方,トンボ類の幼虫から成虫に羽化する時,成虫の体の色がどのように決まるかという点に関して,腹節の体色発現に注目し,必須遺伝子の特定をアオモンイトトンボとコシアキトンボを用いて行った.その結果,3つの重要な遺伝子が関与していることが明らかとなり,PNAS誌に論文として発表された.さらに,カワトンボ属に関して,これまでに得られている標本を用いてRadシーケンスを行い,系統解析を行なった結果,これまでのミトコンドリアCOI配列と核ITS配列で推定されていた種分化のパターンが再確認されると同時に,従来の交雑由来集団が,別の種として認識可能であることがわかってきた.今後,さらにこのRADシーケンスを分布の末端地域の個体群についても行う予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初,種間交雑の野外での実態を明らかにする研究を行う予定であったが,2020年度からはコロナ禍のために野外調査を行うことができず,さらに,日本産カワトンボ属の日本全国での大規模な遺伝的解析の材料収集も持ち越されたままである.コロナ禍がおさまるとともに,こう した野外調査を実施したいと考えている.一方,トンボ類の翅や体の模様の発現に関しては,重要な遺伝子群の発見があった.また,これまでの標本からさらに詳細な遺伝的地域変異を明らかにすることができた.

今後の研究の推進方策

2022年度でこの研究課題は終了する.最後の年度にあたり,これまでの成果をまとめ論文として発表することを予定している.日本産カワトンボ属(Mnais属)2種の集団において,雑種崩壊,形質置換,種分化完了の3段階の地理的分布に関して,種の動態を強調したまとめを行う,地域ごとに雑種崩壊が生じていると思われる集団,形質置換によって2種間で交雑が防止されていると考えられる集団,種分化が完了しており複雑な翅多型が2種間で同所的に共通して見られる集団がある点は本研究の達成点の一つである.Radシーケンスを追加し,さらに詳細な系統解析を行うことも今後の計画の一つである.そのために九州と本州北部個体群をさらに追加して調査する.また,コサナエ類およびダビドサナエ類での交雑に関する系統関係についてもデータをまとめ論文の作成を行う.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Molecular mechanisms underlying metamorphosis in the most-ancestral winged insect2022

    • 著者名/発表者名
      Okuda G, Moriyama M, Kawahara-Miki R, Yajima S, Fukatsu, T, Futahashi R
    • 雑誌名

      PNAS

      巻: 119 ページ: 1-12

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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