当該年度は本研究計画の過程で論文化を進めてきた論文について、2本を出版することができた。一方、投稿中の論文が計画期間終了時点で2本残っており、さらに研究結果を得られているものの、論文化が未だにできていない内容が2本程度残っている。出版できた2本のなかでもEvolution誌に掲載された論文は伝統的な歯の形態形成に関する学説である「場の理論」をいくつかの哺乳類にみられる歯の単純化に着目するという独自のアイデアと現代的な系統種間比較の手法を用いて再検証したものであり、歯の形態進化の研究において意義深い論文であると自負している。一方、同様の解析を非哺乳類単弓類で行っている論文に関しては、現状で投稿中であり、再解析を含む内容の修正を行っている途中である。また、分子進化の解析結果を含む論文については、投稿中の論文修正を優先していた事情から、論文化が未だにできていない。本研究計画の研究期間は終了したものの、別途工面することで本研究は継続しており、現状手配できているマンパワーの状況から、今後も何年かの時間をかけて既に得られている研究結果を論文化していくことになると考えている。それによって本研究計画において予算が減額判定されてマンパワーが不足した部分を取りもどし、本研究計画構想当初に予定していた内容の多くを論文として結実することができると考えている。いずれにしても、現状で既に出版できている論文に関してその質は高いと自負しており、本研究計画はそれだけでも極めて科学的な意義のある成果を得たといえる。
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