研究課題
多地点・高頻度環境DNA観測に基づく魚類群集構造の変動様式と形成・維持機構を解明するために,2019年から2022年の4年間に房総半島11地点において ① 隔週調査50回,② 月別調査50回,③ 日周変動(上げ潮・下げ潮)調査,④ 空間変動調査の4項目の調査を行った。①については計550サンプルから得られたデータの定量化が成功し,Empirical Dynamic Modeling (EDM) に基づく種間関係の解析が終了した。その結果,優占種50種間の関係性(強度)にみられる時空間変動から,魚類群集の形成・維持機構解明に迫る興味深い結果(海水温の時空間的上昇が種間強度を高める等)が出た。この解析については論文化がほぼ終了し,間もなく国際誌に投稿する予定である。①の隔週調査は,②の月別調査に移行し無欠測で4年間50回分の月別サンプルを得ることができた。期間中に冬期の高水温化(2月の平均水温が期間中に2.2℃上昇)が進み,これまで低水温で越冬できなかった多くの熱帯性魚類が冬期に検出され,魚類群集動態の中期変動をデータで示すことができた。③については2メートルの潮位差がある5月の大潮時に上げ潮と下げ潮でサンプリングを3地点で2日間に計4回行い,魚類群集構造に両者間で統計的有意差が見られないことを検証した。この結果は,環境DNAの検出がその場に生息する魚類を示すという「概念実証」に大きく貢献する。④については,計500 km以上に及ぶ千葉県の海岸線を100地点で網羅した結果,全県で400種余りの沿岸性魚類が検出された。魚類群集の空間分析を行ったところ,種数の緯度勾配や魚類群集構造の地域性などが明瞭に再現され,環境DNAによる地域魚類相調査の有効性が明らかになった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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