研究課題
アブラムシ及び虫こぶについて追加のサンプル採集を行い、それらについてRNA-seqおよび遺伝子解析を行い、これまでのデータに追加した。このデータをもとにアブラムシの系統解析を行い、合わせて年代推定も行った。その結果、いくつかのパターンで解析を行って比較することで解析精度が改善され、よりもっともらしい結果を得ることができた。この解析からは、Hamamelistes属3種のアブラムシの地理的な分化は氷期間氷期の時期に生じたと推定された。また、これらのアブラムシの地理分化パターンとマンサクの地理分化パターンを比較したところ、マンサクの分化の地理的なパターン、および地理的な分化が生じた年代は、アブラムシの分化パターンと一致しており、マンサクの地理分化と対応してアブラムシの種分化、および種内の地理分化が生じてきたことが明らかにされた。また、RNA-seqの解析からは、虫こぶ形成過程の中でも特に初期と成長期において種間で違いがみられ、違いがある遺伝子群は、実際の防御物質の量、及び成長の速さの種間差と対応がみられた。これらの結果は、アブラムシの種分化及び地理分化はマンサクの分布変遷と対応して生じ、その分化過程の中で、アブラムシにおいて、防御物質や虫こぶの成長の速さに関わる遺伝子発現パターンの進化が生じてきたことを示唆している。これらの得られた結果について、共同研究者と議論を重ねて整理し、論文を執筆した。この論文については現在投稿を行っている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Phylogenetics and Evolution
巻: 182 ページ: 107735~107735
10.1016/j.ympev.2023.107735