研究課題/領域番号 |
19H03303
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
丑丸 敦史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70399327)
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研究分担者 |
石井 博 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (90463885)
岡本 朋子 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (50588150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 花の撮影 / 花の複雑性指標 / 花色 |
研究実績の概要 |
今年度は、再現可能な測定方法による客観性の高い花の複雑性指標の開発を目指して、花の撮影画像を用いた花および花被片の形質測定を行なった。調査は菅平高原ダボススキー場において生育する90種を超える被子植物の花を対象として、正面および側面2方向(直交する3軸方向)から、花とともにスケールを入れた写真をデジタルカメラを用いて撮影した。さらに、撮影に用いた花から送粉者の誘引に関連する花被片を分離し、平面状に展開し、スケールとともにデジタルスキャナで読み、デジタル画像とした。これらの画像を解析ソフトimageJを用いて解析し、各軸方向から見える花の縦横長や面積、全ての花被片の平面面積を算出した。ここで算出した計測値を組み合わせて、複数の花形態に関する指標作成を行なった。また、作成した指標と送粉者相との関係も解析し、指標の有効性を抽出する作業を行なった。その結果、花の立体性指標(正面と側面の比)や花被片の複雑性指標(花として見えている面積と花被片の平面面積の比)は送粉者相(マルハナバチ優占か、ハエ目優占か)を説明できた。一方で、定性的な左右相称性区分(左右相称花/放射相称花)も送粉者相と関係がみられたが、画像データを使った左右相称性指標(正面写真における縦長と横長の比等)は送粉者相との関係が見られなかった。以上のように、今回は花被片の画像データを元にした指標作りを行なったが、一定の成果がみられた。 また三浦半島黒崎の鼻における海岸草原で、年5回、群集の開花種および送粉者の調査を行なった。また同時に虫媒種の花色の調査も行った。データは現在まとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回は、より客観的、定量的かつ再現性の高い花の複雑性指標作りを目指し、菅平高原の群集内の多種を対象に花の写真を3軸方向から撮影し、データ化する手法の開発を行なった。その結果、客観的指標の開発に近づくことができた。また、花の撮影を行う際に注意すべき点や問題点などについても、概ね把握することができた。また海岸草原での花色調査を進めることができた。そのため、進捗状況としては概ね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度取得した画像データを用いた解析をさらに進め、結果をまとめることが第一の目標であり、来年度以降は、今回作成する複雑性指標と送粉者の訪花頻度に基づいて、複雑な花と単純な花を選定して、密度と送粉成功の関係についての調査を進める。また、菅平高原以外の調査地においても花形質の調査を進める。
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