研究課題
ヒトらしさをつかさどるヒト特異的脳細胞を同定するために,ヒトと類人猿の死後脳を用いたシングルセル比較トランスクリプトーム解析を行うことを目的とした.ヒトや類人猿は実験動物ではないため,新鮮な脳試料を入手することが難しい.そのため,シングルセルスランスクリプトーム解析に通常用いられる生細胞ではなく,凍結試料でも使用が可能であると考えられている細胞核を用いたシングルセル(核)スランスクリプトーム解析の実験プロトコル・解析パイプラインを構築する必要がある.令和元年度は,マウス凍結脳を用いた脳組織分散,細胞核の単離,シングル核トランスクリプトーム解析用ライブラリ作成,シーケンス,情報解析の各ステップの最適化を行った.その結果,一度の実験で一つのサンプルから約1万細胞核分の発現情報を得るプロトコル・パイプラインを構築することができた.
2: おおむね順調に進展している
細胞核を用いたシングル核トランスクリプトーム解析のための実験・解析パイプラインをマウス凍結脳試料を用いて構築した.類人猿の死後脳に関しては,過去の研究において収集したものを利用するほか,新たな脳サンプル収集に関する共同利用研究の手続きを進めた.ヒトの死後脳利用に関しても倫理申請などを含めた共同研究体制を構築した.
類人猿としてチンパンジー,ゴリラの死後脳収集を京都大学霊長類研究所との共同研究として行う.ヒトの死後脳収集に関しては新潟大脳研究所との共同研究として行う.すでに両研究所とは共同利用・共同研究体制を構築済みである.収集したヒトと類人猿凍結脳試料を用いてシングル核トランスクリプトーム実験を行う.マウスで構築したプロトコル・パイプラインを用いて,ヒト・類人猿でも同様の結果が得られるかどうか検証する.
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