研究課題/領域番号 |
19H03314
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
若林 斉 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50452793)
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研究分担者 |
斉藤 昌之 北海道大学, 獣医学研究院, 名誉教授 (80036441)
後藤 一成 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60508258)
二連木 晋輔 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (70741156)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 褐色脂肪 / 寒冷適応 / 非震え代謝 / 震え代謝 / 皮膚血管収縮 / 骨格筋 |
研究実績の概要 |
本研究は、寒冷環境におけるヒトの体温調節機能に見られる多様性を、全身的協関の観点から包括的に検証すること、また、寒冷曝露および運動習慣が体温調節機能の適応に及ぼす相互作用の検証を目的としている。 本年度は、環境制御室において室温を徐々に低下させた際に示される非震え代謝、震え代謝および末梢血管収縮反応、FDG-PET/CTにより評価した褐色脂肪組織(BAT)の活性および骨格筋量との関係について検討した。実験の結果、BAT活性の高い者ほど、高い非震え代謝が示され、深部体温が高く維持され、震えの発現が遅かった。この結果から、BATを発現組織とする非震え代謝が小さい対象者において、骨格筋による震え代謝の代償的亢進が生じる可能性が示唆された。皮膚血管収縮反応とBAT活性および代謝応答の関係について分析を行ったが、代謝系と循環系の体温調節応答における相互関係は示されなかった。得られた結果をもとに論文を執筆し、国際誌に発表した(Wakabayashi et al. 2020)。また、国際ウェビナーにおいて、招待講演を行った(Wakabayashi 2021)。 その他に、長期的寒冷曝露が体温調節応答に及ぼす影響を評価するため、上記と同様の実験プロトコールにより季節差を検討し、BAT活性に応じた適応の多様性について分析した。現在、論文執筆を行っている。また、運動習慣や運動トレーニングがBAT活性を含めた体温調節応答に及ぼす影響について、最近の知見をレビューして整理した。共同研究者らと実験計画について調整した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画初年度に計測機器の影響で計画の一部を翌年度に繰り越したため、当初の予定より遅れを生じた。一方で、研究成果の一部を原著論文として報告したことや、国際会議において招待講演を行うなどの成果があり、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の感染拡大に注意しつつ、共同研究者と連携しながら実験を進める。寒冷環境に対する体温調節応答を評価するため、冬季の限られた期間に実験を行う必要があるが、秋までに予備実験を完了させ、12月下旬から本実験に着手できるよう準備する。
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