研究課題
LRR膜タンパク質(遺伝子)の異常が統合失調症、双極性障害、ADHD、強迫性障害、不安障害、自閉スペクトラム症、学習障害などの神経疾患に密接に関係することが明らかになってきた。これらの疾患のうち、統合失調症、双極性障害、ADHD、強迫性障害、不安障害治療薬の多くはモノアミン作動性神経系(モノアミン系)を標的としていることから、LRR膜タンパク質の機能変化とモノアミン系との関係が注目された。脳の拡散性伝達とLRR膜貫通タンパク質との関係を明らかにするために、「LRR膜タンパク質によるモノアミン系の制御の分子的な実体は何なのか、それがどのように各神経疾患の病態と関わるのか」という問題に取り組んだ。今年度はこれまでに明らかにされたLRR膜タンパク質欠損マウス及び発達障害者由来のLRR膜タンパク質遺伝子変異を持つマウスの生理活性アミンを含む神経回路の異常を発生発達の観点から検討した。そのために、各発生段階に特有な分子マーカーを用いて、どの段階から異常が生じるのかを検討した。その結果、LRR膜タンパク質の機能とモノアミン系神経線維の発達制御の間に重要な接点を見いだすことができた。生化学的な解析により同定された新たなLRR膜タンパク質について、それらがモノアミン含有線維の成り立ちにどのような役割を持つのかについての解析を行い、LRR膜タンパク質によるモノアミン系の発生及び機能制御について3種類の新たな仮説を立てることができた。これらの知見は上記神経疾患の病態の理解に貢献するものと考えられ、専門誌への論文投稿を行った。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Front Mol Neurosci
巻: 15 ページ: 856315
10.3389/fnmol.2022.856315
Pharmaceutics
巻: 13 ページ: 1484
10.3390/pharmaceutics13091484