研究実績の概要 |
当研究課題では 脳が柔軟に複数の課題に対処できるための前頭葉と関連分野の働きを解明することである。色と運動を結びつけて学習し、その後記憶に基づいて同じ動作を行う主課題と其の記憶課題中に突然無関係の色ー運動の組み合わせの割り込み課題を一回だけ行わせ、その後に主課題の記憶課題に戻るようなマルチタスク課題を訓練した。 脳波の所見からは、シータ波、ベータ波がこの課題に関連していること示唆されている。またこれらの振動にはGABA性の抑制細胞が関わることが別途示唆されており、抑制性細胞がサブタイプに分類され、異なる周期の振動を生成することと関係することが想定されている。そこでこれらの抑制系の大脳皮質での役割を調べるために、そのサブタイプの詳細な分布を 2つのGABA合成酵素である GAD65, GAD67の分布を: NPY+, nNOS+, PV+, SOM+, CR+, and CCK+ のマーカーを用いて検討した。GAD65ではサブタイプごとに表現に差が見られ 高い表現を示す (NPY+ and nNOS+) また低い表現を示す (PV+, SOM+, CR+, and CCK+) が大脳皮質で認められた。GAD65は活動に応じて変化する傾向があるため、安静時の活動に差があることが示唆された。 脳波レベルの予備的な解析では、シータ波、ベータ波、ガンマ波がこの課題に関連していること示唆されている。またこれらの振動にはGABA性の抑制細胞が関わることが別途示唆されており、普段はそれほど高くない活動レベルでも、状況により、それぞれの抑制性細胞サブタイプが活性化することが想定される。ガンマ波はPV、ベータやシータの遅い波はSOMなどが関わることが示唆される。光遺伝学的に刺激を与えることで、各周波数の振動への介入による影響を調べるための光遺伝学的なツールの予備実験を行った。
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