研究課題/領域番号 |
19H03351
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷口 陽祐 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (00452714)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 3本鎖DNA / アンチジーン / 人工核酸 / 核内移行 / エピジェネティック制御 |
研究実績の概要 |
本研究ではこれまで申請者が検討を行ってきた内容である、3本鎖DNA形成可能な独自の人工核酸の開発という天然の核酸では相互作用できない2本鎖DNA中のCG塩基対の特異的な認識、さらには培養細胞内の特定の遺伝子の発現抑制法技術をさらに発展させる。そこで、これまでに検討されていない2本鎖DNA領域を標的とした新規遺伝子発現制御法の構築を目指して、人工核酸を核内に送達する技術として機能性補助核酸であるガード核酸の創製を行う。さらに、遺伝子発現のエピジェネティック制御に関与しているCpGアイランドを標的とした新規アンチジーン核酸の構築法の確立へと展開する。 本年度は化学修飾を施した機能性補助核酸の創製について、オリゴ核酸の効果的な末端化学修飾法の達成に成功した。その機能性補助核酸とアンチジーン核酸の2本鎖DNAを細胞に作用されるガード核酸(ブースター核酸)の概念の構築に成功した。さらに、ガード核酸に機能分子をマルチコンジュゲート可能なユニットの合成に成功した。このことにより、細胞膜通過能、核膜通過能を有し、効率的にアンチジーン核酸を核内に導入可能な機能性補助核酸開発の基本となる知見を得ることに成功した。 さらにこれまで標的にできなかった2本鎖DNAの配列に対して安定な3本鎖DNAの形成および遺伝子発現阻害活性を有していることを明らかにした。このことにより、3本鎖DNA形成を新規モダリティである核酸医薬として展開するための基礎の構築に成功した。 同時に、これまでの成果をさらに発展させて、新たに分子設計したプリン骨格を有する人工核酸より、5メチルCG塩基対認識可能な人工核酸の創成に成功した。また、同様のコンセプトによりTA塩基対を認識可能な人工核酸の予備的な成果をえた。さらにPNA骨格を有する人工核酸も効率的にPNAオリゴマーを用いた融解温度測定により、CpGアイランドに結合可能な予備的な知見を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた分子の設計と化学合成および機能評価が計画通りに進んでいる。さらに、化学合成した化合物より得られた結果をさらに発展させて、これまでに標的にするのが難しかった領域に対して、安定な3本鎖DNAを形成可能な新規誘導体を見いだしているため、総合的に本研究課題は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、目的を達成するため順調に計画通りに進んでいるため、最終年度の研究も計画通りに実行する。また、新たに新規人工核酸により5メチルCG塩基対あるいはTA塩基対認識を可能としているため、このまま進めることで3本鎖DNA形成を基軸としたアンチジーン核酸創成の基盤となる研究成果が得られると期待される。
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