研究課題
脂肪肝からNASHへの進展は酸化・ミトコンドリアストレスが主因の1つと考えられており、確定診断は肝生検による病理診断のみで、侵襲を伴うが診断精度が低いため、非侵襲かつ肝全体を網羅する高精度な診断法が望まれている。そこで本研究では、申請者が開発している生体内のミトコンドリア代謝イメージング法において、酸化還元(レドックス)反応を鋭敏に検出し毒性が極めて低いCarbamoyl-PROXYL(CmP)を生体プローブとし、ミトコンドリア代謝を指標とするNASH病態の 早期診断技術の確立を目的とする。これまでの研究でCmPはNADHを補酵素としてミトコンドリアにて代謝を受けること、また活性酸素との反応ではGSHが必要でミトコンドリア代謝と反応を区別できることがわかってきた。そこで本年度は、ミトコンドリアにおけるCmPの反応機序解明についてマウス肝ミトコンドリアを用いた検討を行い、CmPがミトコンドリア電子伝達系において還元反応によりラジカルを消失することが明らかとなった。またSTZとHFDを用いた新たなNASHモデルマウスの構築を検討したところ、HDF開始30週付近で進行したNASH病理像を得ることに成功した。ただNASH病態としては、過度に進行していたたため本研究の早期診断へ向け、より早期における解析が必要であることがわかった。またブタに関しては、ブタ用のMCD食を作製し、NASHブタモデル動物の検討について、動物病院に設置されている画像診断機器(MRI、CT、超音波)および肝生検を経時的に実施し、得られる肝組織を電子スピン共鳴装置にて解析することでCmPの有用性検証を行うこととした。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画に基づき研究を推進しており、当該年度の目標とする結果が得られたため。
初年度の研究において、CmPのミトコンドリア電子伝達系における代謝反応の媒介を明らかにしたため、引き続きマウス肝組織のミトコンドリアとそぎ剤を用いた反応メカニズム解明を進める。さらにブタを用いたCmPの動態解析、ヒト肝組織を用いた有用性検証を適宜開始する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
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