研究課題
脂肪肝からNASHへの進展は酸化・ミトコンドリアストレスが主因の1つと考えられており、確定診断は肝生検による病理診断のみで、侵襲を伴うが診断精度が低いため、非侵襲かつ肝全体を 網羅する高精度な診断法が望まれている。そこで本研究では、申請者が開発している生体内のミトコンドリア代謝イメージング法において、酸化還元(レドックス)反応を鋭敏に検出し毒性が極めて低いCarbamoyl-PROXYL(CmP)を生体プローブとし、ミトコンドリア代謝を指標とするNASH病態の 早期診断技術の確立を目的として研究を進めた。とくに実験的NASHモデルの作製としては、メチオニン・コリン欠乏食誘発NASHモデル、CDHAFD誘発NASHモデルにおけるレドックス代謝の検証およびプローブの反応機構解明を実施した。MCDおよびCDAHFD誘発NASHモデル共にCmPの代謝は正常群に比べ有意に低下することが明かとなった。またブタへのCmPの投与における毒性検討においては、今回用いた投与濃度・量においては、ブタへの明確な毒性は観察されなかった。一方、CmPの肝代謝におけるメカニズム解明を検討した結果、CmPはミトコンドリア電子伝達系において、代謝を受けることが明らかとなった。また肝臓に高集積するプローブの開発も実施した。これらの結果を受けて、今後は、NASH病態をより高精度に検出するミトコンドリア高選択性プローブの開発や、実際の診断プロトコルの開発を進めていくことが重要であると考えられる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Antioxidants & Redox Signaling
巻: 36 ページ: 172~184
10.1089/ars.2021.0087