研究課題/領域番号 |
19H03360
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
轟木 堅一郎 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (70341451)
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研究分担者 |
池袋 一典 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 卓越教授 (70251494)
橋本 博 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40336590)
林 秀樹 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (00419665)
鈴木 昭夫 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (80775148)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抗体医薬分析 / バイオアナリシス / DNAアプタマー |
研究実績の概要 |
本年度は、国内外で投与実績の多いトラスツズマブ、インフリキシマブ、ニボルマブに対するアプタマーを探索し、選択性や結合親和性を評価した。配列最適化までは至らなかったが、製剤レベルでnMレベルのKd値を有するアプタマー候補を複数個獲得できた。 一方、アプタマーをバイオアナリシス法へ適用すべく、モノリススピンカラムにベバシズマブ、トラスツズマブ、インフリキシマブに対するアプタマー候補を固定化した前処理キットを試作し血中からの選択的精製能について評価した。アプタマーの配列が必ずしも最適化されていないために、血中からの回収率や選択性については一部不十分なものもあったが、概ね良好なアフィニティー精製を実現した。ベバシズマブについては、アプタマーアフィニティー精製後にトリプシン消化-LC-MS/MS分析する方法論についても構築し、バリデーションを実施した。 クリニカルアナリシス法としては、ベバシズマブアプタマーを用いる血中薬物濃度のイムノクロマトグラフィーキットを開発した。本キットではアプタマーを粒径15 nmの金ナノ粒子に修飾し、血中ベバシズマブと結合反応後、ニトロセルロース膜状を展開させ、コントロールライン上にスポットしたプロテインAにより捕捉させるものである。実用化に向けて今後も種々の検討が必要であるが、その有効性を実証することができた。 プロセスアナリシス法については、2種類の蛍光色素で標識したアプタマーと、抗体医薬を混合するのみで蛍光共鳴エネルギー移動現象から抗体医薬を簡易定量する方法を構築した。モデル試料として、細胞培養培地中に添加したベバシズマブを十分な精度・真度で定量することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アプタマースクリーニング用に予算計上した相互作用解析装置の導入が、機種選定やデモ機の手続き、購入手続きなどの遅れにより、当初の予定よりも半年以上遅れた。これにより、スクリーニングにより取得した100個以上のアプタマー候補配列を1つずつ評価せざる得ず、研究スケジュールに大きな影響を及ぼした。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに獲得できたアプタマー候補配列に対し、導入した相互作用解析装置による大規模解析を進めていく。共同研究先で実施するin silico maturationのみならず、各種WEBツールを有効活用し、アプタマー配列の最適化を迅速かつ効率的に進めていく。 次年度実施予定の患者検体を用いた抗体医薬のバイオアナリシスを実施すべく、所属研究機関、共同研究先の医療機関(岐阜大学医学部附属病院、岐阜薬科大学)での倫理審査申請を早期に進める。
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