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2020 年度 実績報告書

タンパク質の糖鎖修飾の特異性を決定する分子機構の解明と人工糖タンパク質技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19H03361
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

佐藤 匡史  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (80532100)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード3次元構造 / 糖鎖修飾 / 分子メカニズム
研究実績の概要

これまでに我々のグループでは、GlcNAc転移酵素AGO61(別名POMGnT2)がα-ジストログリカン(αDG)上に発現しているラミニン結合性糖鎖合成の初期段階に関与し、また本糖鎖合成に関わる幾つかの酵素と分子複合体を形成することを明らかにしつつある。すなわち、AGO61は複合体形成を介してこれらの酵素と協働することによって、タンパク質特異的な糖鎖修飾を実現している可能性が示唆される。
今年度の研究を通じて、我々はヒト由来AGO61の結晶構造を2.80オングストロームの分解能で決定した。その結果、AGO61は大きな触媒ドメインと小さなフィブロネクチンIII型(FN3)ドメインが約15残基のリンカーを介して繋がれた構造をとっていることが明らかになった。興味深いことに、先天性筋ジストロフィーの1つであるMDDGA8においてAGO61のFN3ドメインが欠損する変異が報告されている。FN3ドメインの機能は多様であるが、タンパク質相互作用ドメインとして機能することはよく知られている。すなわちAGO61は、FN3ドメインを介してラミニン結合性糖鎖合成に関わる他の酵素と複合体形成することで、協働的に機能しているという分子機構が想定される。あるいは、触媒ドメインと協働してFN3ドメインが基質となるαDG上のラミニン結合性糖鎖の付加部位と離れた(糖)ペプチド部分を認識しているという仕組みも想定される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究を通じて、X線結晶構造解析法によりAGO61の3次元構造を決定することに成功している。以上の成果を総合的に判断しておおむね順調に研究は進展しているものと判断している。

今後の研究の推進方策

本年度はAGO61の機能未知のFN3ドメインと本酵素をハブとした分子複合体形成に焦点をおき、一連の生化学・物理化学的アプローチ(サイズ排除クロマトグラフィー法、表面プラズモン共鳴法、ネイティイブ超分子質量分析法、X線結晶構造解析法など)を通じて、AGO61の協働機能発現メカニズムの分子基盤を明らかにすることを目指す。こうして得られた情報を活用することによって、特定の糖鎖を目的のタンパク質に発現させる糖鎖編集技術の開発に資することができるものと期待される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Crystallographic snapshots of the EF-hand protein MCFD2 complexed with the intracellular lectin ERGIC-53 involved in glycoprotein transport2020

    • 著者名/発表者名
      Satoh Tadashi、Nishio Miho、Suzuki Kousuke、Yagi-Utsumi Maho、Kamiya Yukiko、Mizushima Tsunehiro、Kato Koichi
    • 雑誌名

      Acta Crystallographica Section F Structural Biology Communications

      巻: 76 ページ: 216~221

    • DOI

      10.1107/S2053230X20005452

    • 査読あり
  • [図書] 「タンパク質の品質管理とN型糖鎖」、糖鎖生物学(北島 健、佐藤 ちひろ、門松 健治、加藤 晃一編)2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤匡史、加藤 晃一
    • 総ページ数
      83-95
    • 出版者
      名古屋大学出版会
    • ISBN
      978-4-8158-0981-2

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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