研究課題
免疫、造血、神経等の高次生体統御系の恒常性を維持するためには液性の調節因子であるサイトカインの存在が不可欠であり、特に我が国で発見されたインターロイキン6(IL-6)の異常産生やシグナル伝達の異常は炎症、がん、自己免疫疾患を始め多種多彩な疾患の発症に深く関与している。申請者はこれまでIL-6とその機能制御を担うSTAT3/NF-κB関連シグナルを中心に新規制御候補分子の同定ならびにその機能解析を行ってきた。しかしながら、それら分子群の疾患への関与についての詳細は未だ明らかではない。本研究では申請者らが明らかにしてきたSTAT3/NF-κB関連分子群のうち特にTyk2やSTAP-2を中心にアレルギー(即時型/遅延型)、炎症性疾患など種々の疾患モデルでのフェノタイプ解析ならびに疾患発症の分子機序の解明からTyk2やSTAP-2による疾患特異的なシグナル修飾や新規標的分子の同定とそれによる多彩な疾患発現機序解明と新規診断薬や治療薬への応用を目指した。マウスへのアクネ死菌投与で誘導される脾臓の肥大や肝臓での顕著な遅延型アレルギー症状である肉芽腫形成はTyk2やSTAP-2ノックアウトマウスでは抑制され、Th1、Th17分への関連を示した。また、Tyk2のPGE2-PKA-IL-10抗炎症ループへの関与も明らかにした。IL-33により誘導される即時型アレルギーモデルにおいては炎症性サイトカイン産生機構にマスト細胞内STAP-2/NF-κBシグナルの関与を示した。慢性皮膚炎である乾癬でのTyk2/STAT3/IL-17シグナルを炎症関連分子群のmRNA安定化機構の一端を示した。また、その発症、増悪化にTh17の関与が知られる実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルにおいてT細胞内のSTAP-2が関係することも明らかにできた。これらの発見は新規治療法確立に向けて重要な一歩となる。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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