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2019 年度 実績報告書

ショウジョウバエ新規自然免疫受容体Gyc76Cによる液性応答と細胞性応答の制御

研究課題

研究課題/領域番号 19H03365
研究機関東北大学

研究代表者

倉田 祥一朗  東北大学, 薬学研究科, 教授 (90221944)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード自然免疫 / cGMP経路 / 液性免疫応答 / 細胞性免疫応答 / NF-κB経路 / ショウジョウバエ
研究実績の概要

本研究は、新たに同定した自然免疫受容体であるGyc76Cによる液性免疫応答(NF-κB経路の調節)と、細胞性免疫応答(血球細胞の増殖誘導)の制御機構を明らかにすることを目的にしている。本年度は、Gyc76Cによる細胞性応答制御機構の解明に注力した。まず、Gyc76Cによる液性応答の制御に必要なGyc76Cのグアニル酸シクラーゼ活性とGyc76CによるcGMP産生が、細胞性応答に必要かどうか調べた。その結果、両者共に細胞性応答の制御には必要でないことが明らかとなり、Gyc76Cが液性応答とは異なり、cGMP非依存に細胞性応答を制御している事が示唆された。さらに、Gyc76Cによる液性応答の制御に必要なcGMP依存性キナーゼDG2、NF-κB経路のアダプター因子dMyD88が、Gyc76Cによる細胞性制御には必要ないことが明らかとなり、Gyc76Cが液性免疫応答と細胞性免疫応答を異なる経路で制御していることが明確となった。これまで、Gyc76Cによる細胞性応答制御への低分子量Gタンパク質Ras85Dの関与を示唆している。そこで、Ras85D変異体を用いて、Gyc76Cによる細胞性応答と液性応答を調べた。その結果、Ras85DがGyc76Cによる細胞性応答にのみに必要とされることが明らかとなった。さらに、Ras85D変異体を用いた感染実験により、Ras85に依存した経路の、感染抵抗性の発現における重要性が明らかとなった。加えて、Ras85DとGyc76Cの細胞内ドメインとの物理的な相互作用を免疫沈降法により調べたところ、細胞性応答に必要なGyc76Cのキナーゼ様部位に依存して、両者が物理的相互作用を示すことが明らかとなった。これらにより、同一の受容体により異なる免疫応答が協調的に制御される機構の一端が明らかとなった。以上の研究内容は論文発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

新たに同定した自然免疫受容体Gyc76Cが、異なる経路を介して液性免疫応答と細胞性免疫応答を制御していることが明確となり、同一の受容体により異なる免疫応答が協調的に制御される機構の一端が明らかとなったため。

今後の研究の推進方策

本研究では、研究項目(1)Gyc76Cリガンドの同定と、Gyc76CとToll受容体の活性化によるNF-κB経路の調節、研究項目(2)Gyc76Cによる細胞性免疫応答誘導機構の解明、を推進するが、初年度において研究項目(2)Gyc76Cによる細胞性免疫応答誘導機構の解明が、当初の計画以上に進展したため、今後は、研究項目(1)Gyc76Cリガンドの同定と、Gyc76CとToll受容体の活性化によるNF-κB経路の調節機構の解明に注力する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University of Glasgow(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Glasgow
  • [雑誌論文] A receptor guanylate cyclase, Gyc76C, mediates humoral and cellular responses in distinct ways in Drosophila immunity.2020

    • 著者名/発表者名
      Shinzo Iwashita, Hiroaki Suzuki, Akira Goto, Tomohito Oyama, Hirotaka Kanoh, Takayuki Kuraishi, Naoyuki Fuse, Tamaki Yano, Yoshiteru Oshima, Julian A. T. Dow, Shireen-Anne Davies, Shoichiro Kurata
    • 雑誌名

      Front. Immunol.

      巻: 11 ページ: 35

    • DOI

      10.3389/fimmu.2020.00035

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] HSP70/DNAJA3 chaperone/cochaperone regulates NF-κB activity in immune responses.2019

    • 著者名/発表者名
      Kohei Kumada, Naoyuki Fuse, Tomomichi Tamura, Chisaki Okamori, Shoichiro Kurata
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications.

      巻: 513 ページ: 947-951

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2019.04.077

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Dual comprehensive approach to decipher the Drosophila Toll pathway, ex vivo RNAi screenings and immunoprecipitation-mass spectrometry2019

    • 著者名/発表者名
      Kanoh Hirotaka、Kato Hiroyuki、Suda Yamato、Hori Aki、Kurata Shoichiro、Kuraishi Takayuki
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 508 ページ: 332~337

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2018.11.007

    • 査読あり
  • [学会発表] 自然免疫応答におけるSpatzle isoformの役割2019

    • 著者名/発表者名
      二村 麻莉子,上野 春奈,布施 直之,倉田 祥一朗
    • 学会等名
      日本生化学会東北支部第85回例会
  • [学会発表] ショウジョウバエ腸管恒常性維持におけるtartan, capriciousの機能解析2019

    • 著者名/発表者名
      高山倖輔、倉田祥一朗、矢野環
    • 学会等名
      日本生化学会東北支部第85回例会
  • [学会発表] 腸管上皮において活性酸素種が与える損傷の受容機構解析2019

    • 著者名/発表者名
      高山倖輔、倉田祥一朗、矢野環
    • 学会等名
      第58回日本薬学会東北支部大会
  • [学会発表] ショウジョウバエ腸管損傷応答におけるtartan、capriciousの機能解析2019

    • 著者名/発表者名
      高山倖輔、長井広樹、倉田祥一朗、矢野環
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 自然免疫応答におけるSpatzle isoformの役割2019

    • 著者名/発表者名
      二村麻莉子,上野春奈,布施直之,倉田祥一朗
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [備考] 東北大学大学院薬学研究科生命機能解析学分野

    • URL

      http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~seimei/seimei_original.html

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公開日: 2021-01-27  

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