未だ不明な点が多い重金属の組織・細胞特異的毒性発現機構を明らかにするために、化学物質曝露時に生体や細胞でみられる脂質プロファイルの変化を網羅的に解析するトキシコリピドミクスの手法をさらに展開するとともに、重金属曝露により産生が惹起される過酸化脂質の生成・除去や生理活性脂質の産生に関わる脂質代謝酵素の遺伝子欠損マウスやノックダウン細胞を用いた解析を進めた。その結果、重金属による毒性発現に、毒性発現部位における長鎖アシルCoA合成酵素ACSL4およびカルシウム非依存性ホスホリパーゼA2gammaの発現、ならびにこれらの酵素により制御される過酸化脂質の生成が深く関与することが示唆された。
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