研究課題/領域番号 |
19H03380
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
黒川 洵子 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40396982)
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研究分担者 |
山口 賢彦 静岡県立大学, 薬学部, 客員共同研究員 (00632639)
行方 衣由紀 東邦大学, 薬学部, 准教授 (30510309)
諫田 泰成 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 部長 (70510387)
芦原 貴司 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80396259)
坂本 多穂 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (80433150)
永森 收志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90467572)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不整脈 / iPS細胞 / 毒性評価 / 性差 / 交感神経 |
研究実績の概要 |
シグナルによる薬剤誘発性不整脈の調節機構を解明するために、品質保証された分化心筋の作製(1)と不整脈トリガーの統合解析(2)を並行して行った。 2021年度および繰越しの2022年度前半までに実施した内容を以下に記述する。 (1)成熟化した分化心筋の作製:市販ヒトiPS由来分化心筋細胞をin vitroで成熟化するために微弱なペーシング刺激を持続的に与え、培養を行った。これまでに、その成熟化の過程について、収縮解析・電気生理学的解析・イメージング・発現解析により定量的に解析した。その結果、5日から7日程度の持続的ペーシングにより電気的成熟化が見られることを実験的に示した。この時期は、形態的な変化は見られなかったことから、電気的性質の成熟化の過程を検討するのに良いモデルとなると判断した。今後は、人工的なペーシング刺激により、不整脈リスク因子に関連する様々な病態モデルとなるか検討することとした。 (2)不整脈トリガーの統合解析:昨年までに申請者らが作成したヒトiPS由来心筋細胞(viPS-CM)モデルを基に、細胞内イオン濃度動態が自動能に与える影響について調べた。細胞の蛍光イメージング実験により、(1)で確立したペーシングによる電気的成熟化の過程で、細胞内ナトリウムイオン動態が変化することをみつけた。そのイオン動態変化は細胞の自動能を変化させるのに十分な変化であったことをviPS-CMでのシミュレーションで示すことに着手した。 以上より、本研究では、より成熟化したヒトiPS細胞由来心筋を得る技術の確立を数理モデルで記述することによって、心筋細胞の自動能の制御に細胞内ナトリウム動態が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
繰越しにより、2022年度前半には、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の電気的性質が人工的ペーシング刺激により成熟化する実験条件を最適化することに成功した。実験計画では、形態的な成熟化と区別して、電気的性質の成熟化の過程を検討することが目標であり、これを持って達成出来たと考える。次は、当初の予定通り、人工的なペーシング刺激により、不整脈リスク因子に関連する様々な病態モデルとなるか検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
より成熟化したヒトiPS細胞由来心筋を得る技術を用いて、心筋細胞の自動能の制御に細胞内ナトリウム動態が重要であることを数理モデルで記述することによって明らかにしていく。ウェット実験系が確立しているので、定量的データを蓄積し、数理モデルに導入し、パラメーターフィッティングを適切に行うことにより、目的を達成出来ると思われる。
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