研究課題
京大病院のリウマチ患者を対象としたKURAMAコホートを用い、抗薬物抗体の特性を解析した。インフリキシマブ投与患者では4名/39名(約10%)で抗薬物抗体が検出され、インフリキシマブ血中濃度が大きく低下した。しかし、抗薬物抗体以外の要因でも血中濃度低下症例が観察され、治療効果は抗薬物抗体よりインフリキシマブ血中濃度と良く相関した。継続的なモニタリングの結果、抗薬物抗体が陰性化する症例も発見された。また、トシリズマブ投与患者では抗薬物抗体がほとんど検出されなかった。これは、ヒト抗体であることに加えて、IL6経路を抑制することが影響していると考えられた。エタネルセプトでは先行品を用いて検出した系では陽性が認められるのに対し、バイオシミラーを用いた検出系ではシグナル上昇が認められなかった。その原因については、さらなる検討が必要である。さらに、抗体医薬品の生体内構造変化(バイオトランスフォーメーション)を発見した。インフリキシマブにおいて、一部アミノ酸の脱アミド化が観察された。エタネルセプトは生体内でN末端2アミノ酸が切断されていることを見出し、その切断にはDPP4の関与が示唆された。今回はTNFへの結合脳にN末端切断の有無で差は認められなかったが、抗体医薬品の開発において質量分析系などを用いたバイオトランスフォーメーション研究の重要性を示唆する結果が得られた。本研究成果は、抗体医薬品の個別化医療推進に寄与するとともに、医薬品開発における体内動態試験に新しい示唆を提供するものと考える。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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