研究課題/領域番号 |
19H03398
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
渡邉 裕介 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (20562333)
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研究分担者 |
小柴 和子 東洋大学, 生命科学部, 教授 (30467005)
瀬谷 大貴 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (30806021)
中川 修 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40283593)
田中 亨 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (50806065)
劉 孟佳 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (50826922)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 胸部大血管 / 心室筋 / 転写制御 / Notch/Rbpjシグナル伝達経路 |
研究実績の概要 |
本研究は①「胸部大血管形成における内皮細胞発生・管腔構造形成の重要性と制御機構の解明」と、②「心室筋の異なる領域における転写制御機構と細胞運命の解明」を目的としている。 ①について、本年度は胸部大血管形成における内皮細胞でのHey1遺伝子の重要性を明らかにするため、出生直前の内皮細胞特異的Hey1欠損マウスの胸部大血管での表現型をmicroCTを用いて解析した。その結果、右大動脈弓などの構造異常を3次元的に観察することができた。また胸部大血管の由来となる胎生10.5日目胚での咽頭弓動脈の構造および遺伝子発現についても解析を進めている。さらに、内皮で発現するHey1遺伝子の転写制御機構を明らかにするため、Rbpj欠損マウス胚でのHey1内皮エンハンサー活性の解析を行った。その結果、Notch/Rbpjシグナル伝達経路が内皮でのHey1遺伝子発現に必須であることが明らかとなった。以上により、内皮で発現するHey1遺伝子の胸部大血管形成における重要性と転写制御機構の一端を明らかにした。 ②について、本年度は胎生期心室筋で発現するHey2遺伝子の心室筋エンハンサーの転写制御機構を明らかにするため、Hey2心室筋エンハンサー欠損マウスの作製および当該マウスでのHey2遺伝子発現の解析、ルシフェラーゼアッセイを用いたHey2心室筋エンハンサー活性化因子の検索、Tbx20欠損マウス胚心臓でのHey2心室筋エンハンサー活性の解析を行った。その結果、Hey2心室筋エンハンサーは心室筋におけるHey2遺伝子発現に必須であり、Tbx20およびGata因子により活性化されていることが明らかとなった。本研究実績はDev Biol誌に投稿し受理された(Ihara et al., 2020. 共責任著者)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス系統樹立と新規マウス系統作製の遅延のため繰り越し申請を行った一方、Hey1およびHey2遺伝子の機能および転写制御機構の解析は計画通りに進行している。また本研究内容の一部が学術誌に論文受理される面もあったため、総合的に「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究①「胸部大血管形成における内皮細胞発生・管腔構造形成の重要性と制御機構の解明」については、Hey1欠損マウスにおける咽頭弓動脈構造および遺伝子発現およびHey1内皮エンハンサーの転写制御機構の解析を進行させ、本年度結果と合わせて論文投稿から受理までを目指す。 本研究②「心室筋の異なる領域における転写制御機構と細胞運命の解明」については、Hey2遺伝子の心室筋特異的エンハンサーとタモキシフェン誘導型Creを用いて、心室筋発生過程における細胞系譜解析を行い、心室筋細胞の起源や運命決定時期の解明を目指す。また心臓内領域特異的なHey2欠損マウスの解析により、Hey2が制御する下流因子や細胞動態を明らかにしていく。
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