研究課題
1)ハイコンテント顕微鏡を駆使したセロトニントランスポーター(SERT)とその変異体を活用したERストレス緩和薬物の検索方法により、ERストレス緩和薬物候補を得る。2) 新たなハイコンテント顕微鏡を用いたERストレス緩和薬候補の検索方法を開発する。:遺伝性脊髄小脳失調症14型(SCA14)変異γPKCは細胞内で凝集体を形成しERストレス惹起して神経細胞死を誘導する。SERTΔCT凝集体の自動計測法開発で用いたノウハウを活用して、ハイコンテント顕微鏡を用いた変異γPKC凝集体数の自動解析法の開発を試みた。384プレートを用いた効率的スクリーニング系の開発がポイントであることが判明した。なお、薬物スクリーニングライブライリーは、慶応大学からドラックリポジショニングのライブラリ―の提供を受けた。3)すでに効果が確かめられた薬物SKF-10047をツールにしてERストレス関連疾患(病態理解と治療標的を得る。:SK-10047により変動する遺伝子群の検索の結果から、膜輸送に関係するSNAREタンパク質のsyntaxin3(STX3)を同定した。STX3とSERTは過剰発現するとゴルジ体や小胞体で共局在し相互作用すること、また、両者を内在性に発現する大腸がん由来のCaco-2細胞では、SERTとSTX3は微絨毛に局在し、SERTの機能を調節することを明らかにした。本研究成果を論文として発表した。また。Caco-2細胞でのSERT調節機構の発見は今後の研究の新たな展開にも繋がると考えられる4)SERTの膜輸送に関連する分解系の解明:SERTは、小胞体で合成され、糖鎖修飾を受け細胞膜に膜輸送され効果を発現する。小胞体で折り畳み不全を生じたSERTの分解に小胞体関連分解(ERAD)に関与するユビキチンリガーゼHRD1が大きく寄与していることを明らかにし、論文として報告した。
2: おおむね順調に進展している
適切な薬物ライブリ―の供給を受けて、SCA14変異γPKCを用いたスクリーニング系の構築に着手することができた。SKF-10047の作用機序に関わるSTX3とSERTの機能連関の一助を明らかにし、論文で報告した。SERTの分解に関与するERAD関連ユビキチンリガーゼHRD1を同定し論文に報告した。
1)SCA14変異γPKCを用いたスクリーニング系の更なる開発と薬物スクリーニングをさらに進める。2)過敏性大腸症候群の原因解明のために、Caco-2細胞を用いてSERTの取り込み機構を明らかにする。3)SERTの新たな膜輸送調節機構としてパルミトイル化に注目しその詳細を明らかにする。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)
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