モルフォゲン勾配は、組織を構成する各細胞に連続した位置情報を与え、場に適合した運命を誘導する機構であり、組織の構築・再生・維持に必須の役割を果たす。我々は本研究において、胚組織に突発的に生じたWntシグナル異常細胞をWntモルフォゲン勾配が与える位置情報を利用して感知・除去し、これによりWntモルフォゲン勾配の確実な形成と組織構築の正確な実行を支えることを発見した。さらに、神経管でも同様に、Shhモルフォゲン勾配が突発的に生じたShhシグナル異常細胞を感知・除去することも発見した。このように、モルフォゲン勾配を介した新たな組織恒常性維持機構とその分子基盤の解明に成功した。
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