TRPタンパク質は生体内外環境変化を感知して活性化開口する陽イオンチャネルである。この従来の理解を超えるべく、H2O2により活性化開口するTRPM2の「非チャネル機能」の機構的基盤と生物学的意義を追究した。TRPM2相互作用タンパク質の網羅的探索により得られたSTAT3はTRPM2活性を強く阻害し、お互いの発現レベルを激減させた。TRPM2 KOマウスにおいては、担癌内腫瘍関連マクロファージのSTAT3シグナルが亢進しVEGFを介して新生血管が過剰形成されたが、薬物誘導性炎症は抑制された。このように、STAT3シグナル抑制によるマクロファージの機能分極調整というTRPM2の新機能を発見した。
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