研究課題
本研究では、脊椎動物モデルを用いて数十種類の神経細胞を含む複雑な神経組織である網膜におけるエピジェネティック因子による発生と維持・再生の制御メカニズムを解明することを目的とする。令和元年度は、新規な脊椎動物モデルを用いて、次世代DNAシーケンサーを用いたシングルセルレベルでの網膜における遺伝子発現解析とエピジェネティック解析を行う実験系の確立を行った。脊椎動物モデルから網膜を単離し、状態のよいシングルセルを単離する手法を、条件設定を工夫することで、シングルセル解析に十分な細胞を精製することに成功した。この新たな手法によって得られた細胞からシングルセル解析を行うためのライブラリを構築し、次世代シーケンサーを使ってパイロットシーケンスを行った。その結果、細胞集団のクラスターを複数確認し、本手法が有効であることが証明された。一方、令和元年度にマウスを用いた網膜分化と成熟に関与する転写因子の解析を行い、網膜細胞の分化と成熟に重要なメカニズムを明らかにした。この結果は論文として発表した。昨年4月に長浜バイオ大学に着任し、研究室のセットアップを行った。本研究で用いる実験系が問題なく運用できる体制が確立しつつある。令和2年度は、これまでに確立したシングルセル解析の手法を用いて、個体数を増やし網膜細胞のデータを取得し詳細な解析を行う。一方、網膜変性モデル動物にも同手法を適用し、シングルセル解析を行うことで、このモデルで網膜変性が引き起こされるメカニズムの解明を行う。RNA-seq解析では、別の網膜の形態異常を示す動物の遺伝子発現プロファイルの解析もすすめている。これらの情報を統合してバイオインフォマティクスによりメカニズムの解明を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
令和元年度は、新規な脊椎動物モデルを用いて、次世代DNAシーケンサーを用いたシングルセルレベルでの網膜における遺伝子発現解析とエピジェネティック解析を行う実験系の確立を行った。脊椎動物モデルから網膜を単離し、状態のよいシングルセルを単離する手法を、条件設定を工夫することで、シングルセル解析に十分な細胞を精製することに成功した。この新たな手法によって得られた細胞からシングルセル解析を行うためのライブラリを構築し、次世代シーケンサーを使ってパイロットシーケンスを行った。その結果、細胞集団のクラスターを複数確認し、本手法が有効であることが証明された。一方、令和元年度にマウスを用いた網膜分化と成熟に関与する転写因子の解析を行い、網膜細胞の分化と成熟に重要なメカニズムを明らかにした。この結果は論文として発表した。昨年4月に長浜バイオ大学に着任し、研究室のセットアップを行った。本研究で用いる実験系が問題なく運用できる体制が確立しつつある。
令和2年度は、これまでに確立したシングルセル解析の手法を用いて、個体数を増やし網膜細胞のデータを取得し詳細な解析を行う。一方、網膜変性モデル動物にも同手法を適用し、シングルセル解析を行うことで、このモデルで網膜変性が引き起こされるメカニズムの解明を行う。RNA-seq解析では、別の網膜の形態異常を示す動物の遺伝子発現プロファイルの解析もすすめている。これらの情報を統合してバイオインフォマティクスによりメカニズムの解明を行う予定である。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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