研究課題/領域番号 |
19H03423
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡崎 一美 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (50452339)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 免疫偏向性 / LAG-3 |
研究実績の概要 |
T細胞の応答が抗原内の特定のエピトープに偏っておこる現象を免疫偏向性と呼ぶ。免疫偏向性は獲得免疫システムの根源的な命題の一つと言えるが、免疫偏向性が生じるメカニズムは謎に包まれている。最近、抑制性免疫補助受容体の一つであるLAG-3がMHCクラスIIへの親和性が高いペプチドに対するT細胞の応答を選択的に抑制することを見出した。さらに、安定な自己抗原MHCクラスII複合体に応答するT細胞が負の選択を逃れて末梢に存在すること、その活性化をLAG-3が抑制するために、自己免疫疾患の発症が回避されていることを明らかにした。そこで本研究課題では、タンパク質およびペプチドを用いた免疫実験、自己免疫モデルを用いた実験等を行い、LAG-3が免疫偏向性を緩和し、免疫応答の多様性を確保しているという仮説を検証することにより、免疫偏向性が生じるメカニズムおよび免疫偏向性の生物学的意義を明らかにすることを試みる。 モデルタンパク質を抗原として免疫したマウスの所属リンパ節からT細胞を調整し、抗原タンパク質のスキャニングペプチドを用いて再刺激してELISPOT解析を行うことにより、抗原内のどのエピトープに応答するT細胞が、どの程度産生されているかを評価した。その結果、特に強いT細胞応答が限られたエピトープに対して検出され、免疫偏向性の存在が確認された。同様の実験をLAG-3欠損マウスで行なったところ、強い免疫応答を誘導するエピトープに対するT細胞応答が、LAG-3欠損により増強されていた。これらの結果から、LAG-3が免疫偏向性を緩和することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、タンパク質およびペプチドを用いた免疫実験、自己免疫モデルを用いた実験等により、LAG-3が免疫偏向性を緩和し、免疫応答の多様性を確保しているという仮説を検証することにより、免疫偏向性が生じるメカニズムおよび免疫偏向性の生物学的意義を明らかにすることを目的とする。研究実績の概要に記載の通り、免疫偏向性を評価し得る実験系を構築するとともに、強い免疫応答を誘導するエピトープに対するT細胞応答をLAG-3が選択的に抑制するという実験結果を得ていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
LAG-3が免疫偏向性に与える影響については、LAG-3によってT細胞応答が強く抑制されたペプチドおよびほとんど影響を受けなかったペプチドについて、MHCクラスIIに提示させた際のLAG-3への結合性を解析する等、ペプチド/MHCクラスIIとLAG-3との結合が免疫偏向性に与える影響を詳細に解析する。また、MHCハプロタイプの違いが免疫偏向性に与える影響について解析するとともに、LAG-3による免疫偏向性の緩和が自己免疫に与える影響を検討する。
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