研究課題
本研究は 膵癌を対象に、従来のRNAシークエンスでは同定できなかった癌特異的なcircular RNA を網羅的に同定したうえで、特に膵癌特異的に異常高発現しているものに関して全長構造と発現様式を明らかにし、その生物学的機能の解明と、マーカーとしての有用性を検討する。。本年度は、膵癌組織および正常膵組織由来RNAを用いて、環状RNAに特異的なRNAシークエンシングを行い、環状RNAの発現を網羅的に解析した。膵癌で高発現する環状RNAのうち、既存のデータベースに登録されていない新規のものに着目し、膵組織および血清中の発現様式を検討した。膵癌(n=2)および正常膵(n=2)由来RNAに対してエクソヌクレアーゼ処理によって環状RNA以外のRNAを分解した後、RNAシークエンスを行った。合計58,050種類の環状RNAを同定し、そのうち40,619種は既存のデータベースに登録のない新規のものであった。つづいて、膵癌組織と正常組織における環状RNAの発現量を比較し、12番染色体から転写されている新規環状RNAが膵癌で高発現していることを見出し、さらに新規環状RNAの全長配列を同定した。膵癌組織43例、正常膵組織10例に対してRNA in situ hybridizationを行い、膵癌組織で新規環状RNAが有意に高発現していることを確認した。さらに、癌の進行度に対応して新規環状RNAが高発現する傾向が認められた。新規環状RNAは血清からも検出され、血清新規環状RNA測定による膵癌診断能は、感度0.45、特異度0.90であった。さらに本研究ではこの環状RNAの機能解析として、RNA配列にIRES配列が存在することをデータベースから検索し、ペプチドの産生を想定して抗体を作成し検出を試みたが、二種の想定ペプチドは検出できず、ペプチドは産生されていないことが分かった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)
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