研究課題/領域番号 |
19H03432
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
藤井 雅寛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30183099)
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研究分担者 |
長谷川 成人 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能研究分野, 分野長 (10251232)
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / アルツハイマー病 / ALS / アグリソーム / ユビキチン |
研究実績の概要 |
酸化剤処理を含む様々なストレスが、神経細胞内のユビキチン化蛋白質の量を増加させる。このユビキチン化蛋白質は神経細胞に対して毒性を持ち、パーキンソン病を含む、複数の神経変性疾患の発症に関与する。アグリソームはストレスによって誘導されるユビキチン化蛋白質の凝集体である。申請者らは、USP10がアグリソームの形成を誘導し、ユビキチン化蛋白質の神経毒性を低下させることを報告した。 1,タウはアルツハイマー病の原因蛋白質である。神経細胞株をプロテアソームの阻害剤で処理すると、タウは最初にストレス顆粒に局在し、次にアグリソームに局在した。ストレス顆粒は、様々なストレスによって誘導される蛋白質の凝集体である。アグリソームは様々なストレスによって誘導されるユビキチン化蛋白質の凝集体である。USP10の発現を低下させると、ストレス顆粒とアグリソームの形成が著しく減少した。アルツハイマー病患者の脳病変の神経細胞において、タウは凝集体を形成していた。この凝集体に、USP10は共局在した。 2,G3BP1はUSP10の結合蛋白質である。G3BP1はストレス顆粒の形成に重要な役割を果たす。G3BP1の発現を低下させた細胞では、ユビキチン化蛋白質の量が増加した。嚢胞性線維症(cystic fibrosis;CF)は、cystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)を原因分子とする劣性遺伝性疾患である。CFTR-ΔF508(CFTRのPhe508の欠損)は家族性CFにおいて最も多い変異である。CFTR-ΔF508はユビキチン化され蛋白分解される。G3BP1の発現低下細胞ではCFTR-ΔF508の分解が低下し、アグリソームを形成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1,USP10がアルツハイマー病の発症に関与することを示す論文発表した。 2,USP10の結合蛋白であるG3BP1がユビキチン化蛋白質の分解を誘導することを明らかにし、論文で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
脳特異的USP10欠損マウス、脳特異的G3BP1欠損マウス、脳特異的G3BP2欠損マウスの表現系を明らかにし、アグリソームとUSP10が神経変性疾患の発症にどのように関与するのかを明らかにする。
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