研究実績の概要 |
私達は、CpG DNA、IFN-gamma、抗IL-10受容体抗体の三種混合刺激により、マクロファージが赤血球、血小板、リンパ球、骨髄細胞などを生きたまま貪食することを見出した。そこで、刺激前後のマクロファージの遺伝子発現を比較することで、刺激により発現が強く上昇する細胞表面分子を12種類同定した。その中でも、ICAM1とVCAM1がリンパ球や骨髄細胞をマクロファージに「繋ぎ止める」ことにより、血球貪食を促進することを報告したが、他の10種類の分子が血球貪食においてどのような役割を担うのかは未だ不明である。そこで、これらの分子が各々、血球の「繋ぎ止め」による貪食に関与するのか、又は、血球の「取り込み」過程に働くのかを各細胞表面分子に対する阻害抗体を投与する実験や、shRNA・CRISPR/Cas9を用いたマクロファージでの発現低下(欠損)により検討を行い、血球貪食における各分子の役割の解明を進めている。また、機能面からのアプローチによる新規分子のスクリーニングを行う為、三種混合刺激後のマクロファージを用いて、その細胞表面分子に対するモノクローナル抗体ライブラリーを作製し、それらの抗体の中でマクロファージによる血球貪食を阻害する抗体をスクリーニングして選別する実験を進めている。一方、三種混合刺激によるマクロファージ内での遺伝子発現制御ネットワークを明らかにする為、CAGE法(PNAS. 100:15776-81, 2003)を用いた網羅的解析の施行を計画しており、条件の最適化を進めている。
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