研究課題/領域番号 |
19H03433
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
華山 力成 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (40403191)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血球貪食 / サイトカイン / マクロファージ |
研究実績の概要 |
昨年度に同定した新規貪食関連分子の機能を解析を進めた。これらの候補分子の発現ベクターをそれぞれ作製し、本来は貪食能をもたないNIH3T3細胞に過剰発現させ、生細胞を貪食させることで、血球貪食を再構築する実験系を樹立した。NIH3T3細胞が貪食する過程を蛍光顕微鏡で可視化し、フローサイトメトリーを用いて貪食を定量化することで、これらの分子が血球の「繋ぎ止め」による貪食に関与するのか、又は、血球の「取り込み」過程に働くのかを検討した。更に、これらの分子において重要なドメインを欠損させた変異体を作製し、NIH3T3細胞に発現されることで、ドメイン機能の解析を進めた。次に、これらの分子のマクロファージにおける発現、特にCpG DNA、IFN-g、抗IL-10受容体抗体の三種混合刺激で発現が上昇するか否かを定量PCRで確認し、マクロファージ上に発現している分子に対しては、各分子に対する阻害抗体や、CRISPR/Cas9を用いたマクロファージでの発現低下(欠損)による血球貪食能への影響を評価した。以上のin vitro実験の結果から、血球貪食に関与する新規候補分子を3種に絞りこむことに成功した。更に、これらの分子が生細胞のどのような分子を認識しているのかを調べる為、細胞外領域とFcとの融合タンパク質を作製し、免疫沈降法による同定を進めた。その結果、2つの分子に関しては、リガンド分子の同定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた研究計画は、ほぼ全て実行することができた。中でも、新規候補分子が実際に貪食に関与することを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに同定した新規貪食関連分子の機能を解析する。マウスモデルにおいて血球貪食を誘発した際に、これらの分子に対する阻害剤を静脈内又は腹腔内に投与することで、血球貪食を抑制するかを骨髄や胸腺、脾臓などの組織解析で確認する。血球貪食が抑制された場合、マウスの生存率や炎症の重症度評価を行い、これらの分子が将来、血球貪食症候群の治療標的として有望であるかを検証する。更に、血球貪食症候群のヒト血液検体やマウスモデルを用いて、これらの分子が、実際に血球貪食の病態発症と関連しているかを検討する。まず、ヒト血液検体については、金沢大学附属病院の小児科・腎臓内科・リウマチ内科・臨床検査部と協力して患者末梢血から単球・マクロファージの単離を進め、これらの分子の発現を定量PCRやFACSにより解析し、病態発症との相関関係を明らかにする。また、マクロファージ内における、これらの分子の遺伝子発現制御ネットワークを、CAGE法を用いて転写開始点を決定して転写因子を予測することで網羅的に解明する。
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