研究課題/領域番号 |
19H03434
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
直江 吉則 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (50392048)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腫瘍溶解性ウイルス / C-REV / 腸内細菌叢 / 抗生物質 |
研究実績の概要 |
ヒトには 1000 種,100 兆個を超える腸内細菌が存在する。これらが構成する腸内細菌叢は免疫や代謝を介して宿主であるヒトと複雑な相互作用を形成し恒常性を維持している。腸内細菌叢の構成菌種の変容や異常増殖、減少は dysbiosis と呼ばれ、ヒトの腸管のみなず、全身の免疫系、代謝機構に異常を引き起こす。脂肪肝炎やメタボリックシンドローム、関節リウマチ、自閉症、多発性硬化症などさまざまな疾患に dysbiosis が寄与している可能性が示唆されている。さらに、腸内細菌叢の変化により化学療法、免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果が変化することが報告されている。そこで、担癌マウスに抗生物質を投し、腫瘍溶解性ウイルスのC-REVの抗腫瘍効果がどのように影響するか検討した。Ampicillin (A)、Metronidazole (M)、Neomycin (N)、または、Vancomycin (V)の4つの抗生物質の中から3つの組み合わせ(抗生物質3剤カクテル)、および、4つすべての抗生物質(抗生物質4剤カクテル)をマウスに投与し、マウスの腸内細菌叢を変化させた。ANV、MNVまたはAMNV処理マウスにおいて、C-REV投与側腫瘍でC-REVの抗腫瘍効果が明らかに強まった。C-REV非投与側の腫瘍においても、MNVまたはAMNV処理マウスにおいて、C-REVの抗腫瘍効果が明らかに増強した。 そこで、これら抗生物質で処理させたマウスの腸内菌叢がどのように変化するか、さらにC-REVの抗腫瘍効果に影響を与えている菌叢の探索する事を目的に研究を行った。その結果、C-REVを投与だけでは細菌叢に影響を与えないが、抗生剤をC-REVと併用すると、細菌叢が変化し、その変化は、抗生物質単独と比べて併用療法の方がより細菌叢が変化することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C-REVを投与だけでは細菌叢に影響を与えないが、抗生剤をC-REVと併用すると、細菌叢が変化し、その変化は、抗生物質単独と比べて併用療法の方がより細菌叢が変化することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
CREVと抗生物質の併用療法で明らかに抗腫瘍効果が増強する事、抗生剤をC-REVと併用すると、細菌叢が変化し、その変化は、抗生物質単独と比べて併用療法の方がより細菌叢が変化することを確認した。今後、C-REVの効果と各種抗生剤カクテル間で菌叢を比較し、C-REVの効果と明らかな相関関係を示す特定の菌叢を探索することを試みる。
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