研究課題
本研究では、可溶性ATPaseの中で最も豊富に存在するVCPが果たす細胞・生体での新たな機能の解明と、我々が独自に開発したVCPのATPase活性を特異的に阻害する化合物KUS(KyotoUniversitySubstance)を用いて疾患モデルへの介入実験を行うことを目的とし、本年度は、以下の結果を得た。昨年度のまでの解析でVCPが感知しているアミノ酸の減少はグルタミンの減少であること、他のアミノ酸がなくグルタミンのみが存在するとVCP蛋白質が凝集体から遊離してフリーになることで、急激な細胞死が誘導されることが判明した。また、この時、シスチンが存在するとVCP蛋白質がフリーになっても細胞死が誘導されないことが判明し、その時に減少するシスチンの代謝産物がGSHであること、それが、ROSの消費に使われるためであることが判明した。一方、GFPを融合したVCPは凝集体に移行しないことが明らかになった。そこで、本年度は、GFPを融合した野生型VCPおよびATPase活性を持たないVCP(K524A)をアミノ酸フリーの培地で発現させたところ、GFPを融合したVCPが細胞質に存在すると、そのATPase活性に関わらず、ミトコンドリアの膜電位が維持され、その結果、ROSの産生が亢進し、GSHレベルが現象することを見いだした。これらの結果から、細胞質にVCPが存在することが、ミトコンドリアの活性を維持すること、さらに、アミノ酸が減少した培地では、VCPが凝集体を形成することで、ミトコンドリアの活性が抑制され、結果、細胞内のROSの上昇とGSHの消費が抑制されることが明らかになった。一方、KUSの投与によって、心不全モデルで、心蔵の収縮機能が劇的に回復することを見いだした。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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