本研究では、PC3などの前立腺癌細胞を飢餓状態にすると、細胞内に豊富に存在する可能性ATPaseであるVCPはグルタミンの減少を感知し、凝集体様の構造物に局在を変えることによって、フリーのVCP量を減少させることでミトコンドリアの活性を抑制し、ROSの産生、さらには、その結果引き起こされるフェロトーシス(細胞死)を抑制するという、細胞を飢餓から防御するこれまでに知られていないメカニズムが存在することを明らかにした。さらに、我々が開発したVCPのATPase活性を特異的に抑制する化合物、KUS121の投与で、腎の再環流モデル、外傷性膝関節症モデルの病態が劇的に改善することを見いだした。
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