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2019 年度 実績報告書

拡張型心筋症における慢性炎症の病態メカニズムの解明と層別化

研究課題

研究課題/領域番号 19H03442
研究機関三重大学

研究代表者

吉田 恭子 (今中恭子)  三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00242967)

研究分担者 廣江 道昭  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医師 (80101872)
長谷川 秀樹  国立感染症研究所, 感染病理部, 部長 (30301790)
奥村 貴裕  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60635598)
宇都 健太  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80318071)
田尻 和子  筑波大学, 医学医療系, 助教 (60633914)
俵 功  三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80378380)
植田 初江  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (40522983)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード心筋炎 / 慢性炎症
研究実績の概要

拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy: DCM)は様々な病因・病態の混合した疾患群の総称であり、一部は心筋炎から移行すると考えられてきた。心筋炎は、一般にウイルス感染に起因する自己免疫反応による一過性疾患と理解されるが、一部の症例では炎症が持続し慢性化する。慢性心筋炎は、急性心筋炎として発症し炎症が持続する遷延性慢性心筋炎と、気づかないうちに急性心筋炎から移行し進行性の重症心不全をきたす不顕性慢性心筋炎の2つに分けられるが、いずれも他のDCMと異なり、積極的な免疫抑制療法による心不全進行抑制が期待される。現在の唯一の診断法は心筋生検による病理組織診断であるが、統一した客観的診断基準はなく、病態メカニズムも不明である。さらに最近、炎症細胞浸潤を伴う炎症性拡張型心筋症(inflammatory DCM: iDCM)という疾患群が提唱されるようになったが、慢性心筋炎と概念・用語が混乱している。本研究では、ヒト急性・慢性心筋炎の心筋生検標本を解析して、動物モデル実験による病態メカニズムの解明と並行しながら疾患概念を整理、組織診断基準を策定し、最適な治療法選択のための診断法の確立を目指す。
そのために
①慢性心筋炎のレジストリーを全国レベルで構築して心筋生検標本を解析し、浸潤細胞のプロファイル、組織炎症マーカー染色を併用した組織診断基準を確立する。
②①に従って慢性心筋炎と診断した症例の組織・血液検体の集学的解析を行い、ヒト心筋炎慢性化のメカニズムを解明する。
③慢性心筋炎マウスモデルを樹立して、病態を免疫学的、分子生物学的に詳細に解析し①、②の理論的裏付けとする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. 慢性心筋炎を受診時の臨床像により、拡張型心筋症の中に混じった潜在性慢性心筋炎 <Multicenter Registry to Investigate Inflammatory Cell Infiltration in Dilated Cardiomyopathy in Tissues of Endomyocardial Biopsy-2: <INDICATE-2>と急性心筋炎から遷延する慢性心筋炎<Multicenter obsERvational prospeCtive stUdy of biopsy-pRoven acute mYocarditis、MERCURY>の2つに分けてレジストリを構築するために倫理委員会の承認を得て症例登録を開始した。
2.  <INDICATE-2>の予備解析を行い、2013年にヨーロッパ心臓病学会から提唱された複数の免疫染色を組み合わせた炎症評価基準及び治療指針に基づくと、と日本の拡張型心筋症患者の48%が炎症性拡張型心筋症として免疫抑制剤投与対象となってしまい日本の慢性心筋炎の考え方と大きく異なることが明らかになり、Tリンパ球の浸潤評価に基づく独自の基準の有用性の評価を行なっている。
3.心筋ミオシンペプチド(MyHCα)とComplete Freund's adjuvant(CFA)をマウスに投与するも一過性急性自己免疫性モデルを作成し、浸潤細胞のプロファイルの急性炎症期、炎症消褪期、瘢痕形成期の経時的変化の解析を行っている。

今後の研究の推進方策

1.2つのレジストリによる心筋生検組織検体の解析を行なって、臨床像と対比し、我々の組織診断基準の有用性を検証する。また、免疫抑制治療剤を投与するか決定するための重要な因子であるウイルス感染の有無が十分に行われていなかったため、現在構築中の網羅的ウイルス検索システムにより解析し、日本の慢性心筋炎におけるウイルス感染の実態を明らかにする。
2.昨年度に引き続き、心筋ミオシンペプチド(MyHCα)とComplete Freund's adjuvant(CFA)モデルマウスで各時相のsignature molecule/cellの同定と、心筋ミオシンエピトープ遺伝子を組み込んだ組換えBCG(rBCG-MyHCα)による慢性心筋炎モデルのcharacterizationを行う。さらに、テネイシンC過剰発現マウスを用いた慢性心筋炎モデルの作成を試みる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Inflammation in myocardial disease: From myocarditis to dilated cardiomyopathy2020

    • 著者名/発表者名
      Kyoko Imanaka-Yoshida
    • 雑誌名

      Pathology International

      巻: 70 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1111/pin.12868

    • 査読あり
  • [学会発表] 心筋症の最近の話題:inflammatory DCMと慢性心筋炎2020

    • 著者名/発表者名
      今中恭子
    • 学会等名
      第108回日本病理学会総会
  • [学会発表] Diverse roles of tenascin-C in myocardial tissue repair.2020

    • 著者名/発表者名
      Kyoko Imanaka-Yoshida
    • 学会等名
      FASEB science research conference: The Matricellular Proteins in Tissue Remodeling and Inflammation Conference.
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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