研究課題
心筋梗塞などのアテローム血栓症は動脈硬化巣(プラーク)破綻に伴う血栓の形成・増大機序について検討を行った。1)冠動脈吸引血栓標本を用いた解析:急性心筋梗塞患者の責任冠動脈から吸引採取された血栓・プラークの病理組織標本の解析を行った。血栓形成部では凝固系が著しく亢進していること、血栓に隣接するプラーク組織には組織因子とともに低酸素状態を示すマーカー(ヘキソキナーゼII)が広範囲に陽性像を呈することを見出した。これを踏まえて培養細胞の系において、プラーク内の凝固系亢進には、プラーク内の低酸素と炎症性サイトカインの相互作用によることを明らかにした。2)プラーク成分の網羅的代謝解析による冠動脈ハイリスクプラークの新たな画像診断法の確立:アテローム血栓症の発症予測として、易破綻性の冠動脈プラーク(ハイリスクプラーク)の非侵襲的検出法の検討を進め、ミトコンドリア膜透過性遷移孔の構成タンパクであるTranslocator protein(TSPO)は、冠動脈プラーク中のマクロファージに高発現し、心筋組織では低発現であることから、冠動脈プラークの描出に有用であることを報告した。またプラークと心筋組織の網羅的解析を行い、プラーク内のコリンがハイリスクプラークの非侵襲診断に有用となる可能性を見出した。3)新規抗凝固薬の血栓抑制評価:ウサギ静脈血栓症モデルを作成し、凝固XI因子の阻害低分子化合物の抗血栓作用と出血リスクを評価した。その結果、この化合物は、従来の抗凝固薬(X因子阻害薬)と比べて抗血栓作用は同等の効果を有し、出血リスクは有意に低いことを見出した。現在、臨床試験が進められており、安全性の高い新規の抗血栓薬の可能性が期待できる。
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